昨日の約束

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「ねー、ミツ？」
「ん？」
「オレさ、この大学でガヤさんに似てる人みたんだけど。」


空き時間。玉森は助教授に呼ばれて研究室に行っている。宮田はサークルに顔を出してるようで久しぶりに二階堂と二人での空き時間だった。
二人でカフェでお茶をしながら、レポートを書いている。そんな時ふと発せられた二階堂の言葉だった。
そー言えば、忘れてたけど二階堂は同じ中学だったな。


「･･･多分、それ藤ヶ谷だよ」
「え！？ミツを迎えに来たの？」


シャープペンをテーブルに置き、凝り固まった肩を揉みながらそう答えると二階堂はビックリしたように、テーブルに手をつき身体をこちらにのりだす。
･･･迎えに来たって、なんで…
あー、二階堂にもチラッと話したんだっけ？



「ちげーよ。」
「じゃあ、ミツ何で知ってんの！？学年違うよね」
「あー、何か偶然越してきたんだよね、隣に」
「は！？あのオンボロアパートに！？」
「うるせっ！」
「でもさ、ガヤさん。お金持ってるよね？中学の時、家大きかったし。この間スレ違った時も･･･有名なスイスの時計してたし。あれ、100万はすると思う」
「･･･見間違いじゃね？っつーか、何でそんな腕時計まで見てんだよ！」
「キラキラ輝いてたから。思わず･･･」


藤ヶ谷が100万の時計！？
まだ数回しか会ってないけど、時計なんかしていなかった。入学式の時でさえ･･･いや、多分。
いや、わかんねー。そんなとこまで見ねーし。



「それは、ニカの勘違いでしょ。そんな時計あいつは持ってないし、あのアパートを選んだのだって、家庭の事情が変わったのかもしれねーし」
「そうかな･･･服とかも、フランスのブランドだった気がするんだけどなぁ」
「まぁ、あいつイギリスに住んでたし？ヨーロッパが好きなんじゃね？向こうでは安く手に入るとか」
「･･･いや、安いっても限界があるでしょ。オレなら頼まれてもミツのアパートに住まないけどな。汚いし」
「うるせっ！」


少し潔癖の気があるお前はそりゃ、住めねーだろうけど。住めば都なんだぞ！なんたって、2階だしな！二階堂！窓開けっ放しで寝れて、家賃2万5千円だからな！


「ねー、それよりさ。紹介？してよ。つーか、普通にプチ同窓会しようよ。」
「･･･それは、ちょっと」
「何で？例え偶然でも。再会したんでしょ？なら普通、仲良くしない？仲間なんだから」
「･･･仲間」


確かにそうだ。二階堂、お前バカだと思ってたけど。目からウロコだった。

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