昨日の約束

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俺にとって藤ヶ谷は･･･好きな人の前に、幼馴染で同級生で友だちで仲間だった。
迎えに来た来てない云々の前に・・・

まだ一度も食事さえ行ってない。


「飲酒は出来ないけどさ。居酒屋でわちゃわちゃしよー」
「･･･聞いてみるわ」


中学一年の時･･･藤ヶ谷、玉森、二階堂、俺。それに千賀っていう今は美容の専門に行ってる連れ。
よく5人でつるんでた。


「ねー、千賀も呼んでいい？」
「もちろん」


二階堂は、合コンとか行くくせに、千賀が本命だった。俺にだけ、打ち明けてくれた秘密。
千賀も知らない。秘めた想いを二階堂は持っている。
正直羨ましかった。片思いでも、手を伸ばせばそこにその人がいることを。
高校は離れてしまったけど、大学で再会をし、ちょくちょく4人で遊んでて。その時に俺に二階堂は教えてくれた。


まず、玉森に聞いてみなきゃ。玉森がイヤだと言えば…藤ヶ谷を誘うことはできない。


その日のバイト帰り。
玉森に二階堂が藤ヶ谷のことを見つけたこと、一緒に千賀も誘ってご飯でもと言ってることを恐る恐る言ってみると、意外にもあっけらかんと承諾をしてくれた。逆にこっちがいいの？と聞き返してしまうぐらい。玉森は笑って、嫌だけど…でもいつかは集まらないと、とは思ってたからと。
大人な対応だった。
ミツが誘うの？との質問には、正直に、そのつもり･･･と答えた。
少し間を置いたあと、しょうがないよね、こればっかりは。と。返される。


もし、俺がもう一人いたら、この玉森を愛してあげたい。いつもいつも甘やかせてくれる玉森を愛でたい。だけど、俺は一人しかいない。


今は、まだそんな風に愛でることはできなかった。


そのまま玉森は駅へと向かい、俺はアパートへと帰路へつく。
時刻は23時。藤ヶ谷は起きてるだろうか？
連絡先さえ知らない。


今日は、ツレが来ているだろうか？
藤ヶ谷はたびたび、あの男女のグループを部屋にいれているようだった。俺が知る限りあの女の子ひとりを連れ込んでいることは今のところなさそうだった。


一度部屋に帰ると、隣の部屋から物音は多少するけど、今日は藤ヶ谷一人のようだった。
別に今日じゃなくてもいいけど…
今日、誘ってしまいたい気持ちもあった。


決心を固め、非常識だと分かっていながら再び部屋を出て、隣の部屋のチャイムを押す。チャイムのボタンが指が震えてる関係で固く感じた。

「･･･誰？」

こんな真夜中の訪問者。テレビモニターもないから怖いに決まってる。

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