131話 ページ47
「その子達に……加護をかけてはいただけないでしょうか」
「ふむ……もう一人には会えなくなるのだぞ?」
「構いません……。私は、私の子が元気に生きていてくれれば、それで幸せなのです」
涙ながらに語る王妃の言葉に王も賛成した。
「では、加護をかける」
その言葉と同時に、光はより一層強くなった。しばらくすると光はだんだんと落ち着いてきて、王と王妃は目を開けられるようになる。目を開き、我が子がいた場所に目を向けると、二人いたはずの我が子は一人になっていた。
「加護をかけた、心臓の動きは戻っているはずだ。もう一人の子の方は安心するといい。私が責任持って育て親を探す」
王と王妃が一人になった我が子に駆け寄ると、すやすやと気持ち良さそうに寝息をたてていた。
「あぁ、良かった……!本当に……!!」
「あ、あなたの名前は……」
「……私は女神アナト。お前らに釘を刺すようで悪いが、決して女神と死神は交わってはいけない。もし交わる時が来たら……」
____その子達の命は、再び奪われるものと思え。
そう言い残して、女神は去っていった。
辺りは静まり返っている。取り残された王と王妃は、一人になった我が子を抱きかかえ涙を流した。
そして、もう一人の我が子の幸せを願い、残された我が子をアリスと名付け、二人分愛情を注いであげよう。過保護でも構わない、大切に育てよう。そう決めたのであった。
その後王と王妃は、もう一人の我が子の墓を作り、流行り病で亡くなったことにして国民達に報告した。
女神は王達から預かった死神の加護を受けた赤子を、城下町から遠い田舎の村の近くに捨て子として、誰かに拾ってもらえるように手を施した。
運良くその子は優しい夫婦に拾われ、Aと名付けられ、大切に育てられたのだ。
《過去編》Fin
ラッキー歌い手
うらたぬき
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神谷朱里(プロフ) - 嶺音さん» ただいまでーす!続きはお楽しみに(*´∀`) (2019年6月1日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 絢乃さん» わーありがとうございます!ただいまです! (2019年6月1日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
嶺音 - おおーーΣ(゜Д゜)いっぱい更新されてる!お帰りなさい。お疲れ様で〜す。続きが凄い気になる!頑張って下さい!! (2019年5月31日 23時) (レス) id: feeb429954 (このIDを非表示/違反報告)
絢乃(プロフ) - お帰りなさいです!テストお疲れ様です! (2019年5月31日 23時) (レス) id: 2caae02809 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 嶺音さん» ありがとうございます!頑張りますよぉぉお!!!(*゚∀゚) (2019年5月14日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年4月21日 20時