130話 ページ46
幼い我が子の亡骸を横に、王と王妃は泣き続けた。冷たくなった体に触れると、やはり心臓はもう動いていない。小さな体に、一体どれだけの負担がかかっていたのだろうか。想像するだけで涙が溢れてくる。
「できるなら、あなた達が成長した姿を。お母様と呼んでくれる日を、綺麗なドレスに身を包む時を、誰かと幸せに結ばれる日を、見たかったわ……」
嗚咽を漏らしながら泣く王妃の肩を、王は包み込むように抱きしめた。まだ生まれて数カ月と経っていないのに、どうしてこの子達が死ななければいけなかったのだろう。
そんな事を考えていると、急に辺りが眩い光に包み込まれる。
「子を失った哀れな王達よ」
突如どこからか声が聞こえた。眩い光に目を開けられずにいると、声の主は話を続ける。
「私がその子らを助けてあげよう」
「なっ!?」
信じられない言葉に耳を疑った。王は声の主を見ようとするが、眩しすぎて目が開けられない。
「私がその子らに加護をかける。一人は女神の加護、もう一人は死神の加護だ。加護は命と同じ、その子らの体から抜かれるような事があれば、それは命を失うのと同じ事だ」
淡々と話を続ける声の主に、王と王妃は唖然としていた。
「加護をかけるには条件がある。この子達を離れ離れにするのだ。女神と死神は決して交わってはいけない」
それは王達にとって究極の選択だった。
もし加護を受けるのであれば、我が子は二人共助かるが、一人とはもう会えなくなってしまう。
しかし加護を受けなければ、二人はこのまま……。
少しの沈黙のあと、王妃の方が口を開いた。
ラッキー歌い手
うらたぬき
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神谷朱里(プロフ) - 嶺音さん» ただいまでーす!続きはお楽しみに(*´∀`) (2019年6月1日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 絢乃さん» わーありがとうございます!ただいまです! (2019年6月1日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
嶺音 - おおーーΣ(゜Д゜)いっぱい更新されてる!お帰りなさい。お疲れ様で〜す。続きが凄い気になる!頑張って下さい!! (2019年5月31日 23時) (レス) id: feeb429954 (このIDを非表示/違反報告)
絢乃(プロフ) - お帰りなさいです!テストお疲れ様です! (2019年5月31日 23時) (レス) id: 2caae02809 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 嶺音さん» ありがとうございます!頑張りますよぉぉお!!!(*゚∀゚) (2019年5月14日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年4月21日 20時