検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:114,502 hit

130話 ページ46

幼い我が子の亡骸を横に、王と王妃は泣き続けた。冷たくなった体に触れると、やはり心臓はもう動いていない。小さな体に、一体どれだけの負担がかかっていたのだろうか。想像するだけで涙が溢れてくる。



「できるなら、あなた達が成長した姿を。お母様と呼んでくれる日を、綺麗なドレスに身を包む時を、誰かと幸せに結ばれる日を、見たかったわ……」



嗚咽を漏らしながら泣く王妃の肩を、王は包み込むように抱きしめた。まだ生まれて数カ月と経っていないのに、どうしてこの子達が死ななければいけなかったのだろう。

そんな事を考えていると、急に辺りが眩い光に包み込まれる。



「子を失った哀れな王達よ」



突如どこからか声が聞こえた。眩い光に目を開けられずにいると、声の主は話を続ける。



「私がその子らを助けてあげよう」

「なっ!?」



信じられない言葉に耳を疑った。王は声の主を見ようとするが、眩しすぎて目が開けられない。



「私がその子らに加護をかける。一人は女神の加護、もう一人は死神の加護だ。加護は命と同じ、その子らの体から抜かれるような事があれば、それは命を失うのと同じ事だ」



淡々と話を続ける声の主に、王と王妃は唖然としていた。



「加護をかけるには条件がある。この子達を離れ離れにするのだ。女神と死神は決して交わってはいけない」



それは王達にとって究極の選択だった。

もし加護を受けるのであれば、我が子は二人共助かるが、一人とはもう会えなくなってしまう。

しかし加護を受けなければ、二人はこのまま……。





少しの沈黙のあと、王妃の方が口を開いた。

131話→←129話《過去編》


ラッキー歌い手

うらたぬき


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (122 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
271人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , AtR
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

神谷朱里(プロフ) - 嶺音さん» ただいまでーす!続きはお楽しみに(*´∀`) (2019年6月1日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 絢乃さん» わーありがとうございます!ただいまです! (2019年6月1日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
嶺音 - おおーーΣ(゜Д゜)いっぱい更新されてる!お帰りなさい。お疲れ様で〜す。続きが凄い気になる!頑張って下さい!! (2019年5月31日 23時) (レス) id: feeb429954 (このIDを非表示/違反報告)
絢乃(プロフ) - お帰りなさいです!テストお疲れ様です! (2019年5月31日 23時) (レス) id: 2caae02809 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 嶺音さん» ありがとうございます!頑張りますよぉぉお!!!(*゚∀゚) (2019年5月14日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱里 | 作成日時:2019年4月21日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。