【薄桜鬼】私立薄桜保育園へようこそ！

1人で待てるもん 2 ページ14

フワッと、優しく頭を撫でられる感触を感じた。あの人とは違う小さな手で、私の頭を撫でてくれたのは、トシ君だった。


土方:どーした？どっかいたいのか？

貴方:ううん、大丈夫。先生、トシ君があんまりにも優しいから、嬉しくて泣いちゃった。ごめんね。ニコ


そう言って私はキュッとトシ君を抱きしめる。この子の方が辛くて泣きたい筈。1番甘えたい時期に甘えられない、我慢しなきゃいけない。せめて、せめて私の前では沢山甘えて欲しい…そう願いを込めて、私は言った。


貴方:ねぇトシ君、いつもいつもこんなに遅くなっちゃって、寂しいよね…？トシ君の方こそ大丈夫？

土方:せんせ…。おれ、へーきだから。それに、いえかえってからはしごといそがしくても、かーさんおれとはなししてくれるし…

貴方:うん

土方:にいちゃんもねぇちゃんも、がっこうのはなししてくれるから。それきくのけっこうすきだし、だからおれはへいき。おそくなったって、ちゃんとむかえきてくれるから。

貴方:そっか…トシ君は強いね。ニコ

土方:…おれ、つよくなる。ヒーローみたいに、おおきくなって、まもれるようになるから。だから、こんなことでなくのはだめなんだよ

貴方:うん…なれるよ、トシ君なら。絶対。

土方:せんせ…

土方母:ごめんなさい！遅くなりました…！

土方:あ、かーさん！

貴方:土方さん！お待ちしてました。トシ君、鞄とか用意しておいで

土方:ん！


お母さんを見てパァァっと明るくなったトシ君。パタパタとロッカーから鞄を取りに行った。…さっきの言葉がトシ君なりの強がりだってことは分かってる。でも、それを私は彼の本心として受け取った。


土方母:いつもすみません。ありがとうございました。

土方:せんせ、じゃーな

貴方:うん、また明日ね、トシ君。ニコ


お母さんと手を繋いで帰るトシ君を見て、いつか彼自身が素直に自分の気持ちをお母さんに伝えられる日が来るように、その手伝いを陰ながらしていこうと、そう思えた1日になりました…

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