第78話 ページ40
次に訪れたのは生徒会室。今日は、生徒会の会議だって言っていたから、fineのメンバーは揃っているはず。
予想は的中。仕事をしている４人がいた。姫宮が反応し、可愛い笑顔を浮かべて腰元に抱きついてくる。
伏見が引き剥がし、『どうぞ』と手招き。失礼しますと頭を下げ、中へ入る。
生徒会長が柔和な笑みを浮かべている。傍まで歩み寄った。
天祥院｢少しは元気になったかな？｣
貴｢お陰様で。また頑張れます｣
天祥院｢それは良かった。ごめんね、気配りが足りなかった｣
貴｢いえ。私の責任でもありますから｣
その顔には、昔の面影はなく、優しさだけが溢れていた。
天祥院｢また何かあったら言いにおいで。出来るだけ配慮するよ｣
貴｢ありがとうございます｣
生徒会室を出、さっさと去っていってしまった私を名残惜しそうに姫宮が見つめる。
日々樹｢ふふふ…☆彼女、少し明るくなりましたかね｣
天祥院｢…あぁやって、身近にいる人が笑ってくれるなら、アイドルになった意味も、いいかもしれないな｣
紅月のレッスン室では。
蓮巳｢全く…心配をかけさせるようじゃ、一人前とは言わないぞ｣
プリプリと怒っている彼の横では、いいじゃねえかと器用に裁縫をする鬼龍先輩。
鬼龍｢さっきも言ったが、頼れる時はちゃんと頼れ。迷惑なんて思わねぇから｣
蓮巳｢あぁ。お前はもう、大切な一員だからな｣
貴｢ありがとうございます｣
鬼龍｢なんだったら、護身術でも教えてやろうか？｣
是非。と、私が答えると、蓮巳先輩が、女子生徒なのだから、骨が折れてしまうぞ！！と、慌てた様子を見せた。
苦笑いを浮かべた鬼龍先輩は、ぶっ飛ばしたりしねぇよ…と、歯で糸を切る。バサリと広げられたのは、紅月の新衣装。
鬼龍｢次のドリフェスじゃ、もっと凄いもん魅せてやるからよ。最後まで、俺たちの最高の瞬間、撮ってくれよな｣
鬼が笑えば、こんなに綺麗なものなのか。蓮巳先輩も、花が綻ぶように笑い、深く頷く。
貴｢はい｣
静かな夜に浮かぶ三日月のように、柔らかく笑った２人に、私もそっと笑い返した。
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作者名：�� | 作成日時：2017年10月28日 21時
