あんスタ【世界は動いている】2 (ページ27)

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第65話ページ27

羽風｢Aちゃーん！｣

廊下をパタパタと走りながら背後から名前を呼ばれ、振り返る。

貴｢こんにちは｣

羽風｢あれ、今日はカメラ持ってないの？｣

貴｢流石に私も授業受けないとヤバいので。これから毎週、金曜日だけは受けるんです｣

なぜなら、主要５教科があるから(＋体育)。

それだけ受けておけば、テストでもある程度は大丈夫。

羽風｢ふぅん…なら、Aちゃんと会える日にち、１日減っちゃったんだ｣

子犬のように耳を垂らした彼に、笑みを漏らした。

羽風(…ここ最近、よく笑うようになってくれたよなぁ)

釣られてなのか、彼も笑う。

すると私の背後から、久世！！と、強く呼ぶ声が聞こえる。

羽風｢あれは…｣

貴｢…すみません。行かなければいけないので｣

軽く頭を下げて私は名を呼んだ女帝の所へ走っていく。

女帝は羽風薫に気がつくと頬を赤く染めて、綺麗な顔で微笑んだ。

後ろに仕えていた女子生徒が見えないように私の手首を引っ張る。

羽風｢…｣

いつも通り、｢愛想笑い｣を浮かべた彼は、彼女たちが背中を向けた瞬間に、ウソを消した。

目を細めて、去っていく女子達を睨みつける。

守沢｢どうした？羽風｣

瀬名｢次、移動教室だけど～？｣

羽風薫の後から来た瀬名と守沢が近づき声をかけた。

羽風｢あぁ、うん｣

瀬名｢？｣

素っ気ない態度で教科書を腰と腕の間に挟んだ彼は、スタスタと歩いていく。

守沢は、待てよ～☆と、走って追いかける。様子のおかしさに気づいた瀬名は、片眉を寄せて２人の後を追うように歩き出した。