黒子のバスケ【あの青春をもう一度】最終章 (ページ5)

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第44話ページ5

誰もいないストリート。ボールが落ちていてそれを拾う。

制服のセーターを脱ぎ、バッグの上に放る。運動靴に履き替えて、ドリブルしながら、コートの中へと入る。

目を瞑り、脳裏で今までの試合を思い出す。

サバとの１on１。全中の時の、ライバル校との試合。青峰との、対戦。

それから、誠凛で見てきた数多くの試合を思い浮かべる。

あの時、私から見て右側と左奥に相手がいる。右から入り込むと、捕まってしまう、なら左？そこから、回転して相手をかわし、シュート大勢に…。

でも青峰なら、ここでボールを奪いにくるんだろう。

知っているよ。

手が伸びてきて、獣のように鋭い眼光が私を捉えている。捕まる、そのまま投げれば…。

ボールを掴んでいる手を1度、後ろに引いて、端に映ったチームメイトにパスを出す。

きっとその人が、ゴールを決めてくれると信じて。

ふ、と身体が軽くなった。

海に沈んでいく感じ。流れに身を委ねて、そのまま深く深く…底についた時、目の前には大きな扉がある。

重そうだな…とか、思いながら、触れてみる。いや、案外軽い。簡単にあけられそう、だ…。

あ、そうか。

ここには、もう一人いる。

君がいる。

まだここで、待っていてくれたんだね。

私はその扉を押そうとした。

キィ…っと、泡を浮かせながら、光の先が見える。

青峰｢Aっ！｣

でもそれに届く前に、黒い影が伸びてきて、私の体を抱き寄せた。