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『はぁ...』
盛大なため息が、薄暗い一室にイヤに響いた。
少しだけ乱れる呼吸を何とか整えて、廊下から聞こえる僅かな話し声に耳を澄ます。
「セナ、居た！？」
「居ないけどぉ。あのさぁ、こんな事して意味あるわけ？あんた、待つって決めたんじゃないのぉ？」
「待つけどさ！？でもそれとこれとは話が別だろ？」
「いや、完全にあんたの趣味じゃん...」
聞きなれた2つの声は対象的で、片方はあまりにもやる気に満ちているから、あたしは改めて出そうになったため息を必死に押し殺す。
ここでバレては、後々とんでもない事になる。...野生の本能がそう言ってる。
しばらくして、「あっちも探すぞ！」という声と共にパタパタと遠ざかっていく足音に、ようやく「安堵のため息」が溢れた。
貴重な昼休みを無駄にしかけた。
さっさと教室に帰ろう、と思った矢先、「嬢ちゃん」、と懐かしい声に呼び止められる。
『...零くん』
「久しぶりじゃのう？」
5奇人が1人、朔間零。
彼はこちらに手を振り、優しく微笑んだ。
『(あぁ、そっか。ここ、軽音部室か...。)』
薄暗かったし、それどころじゃなかった事もあり、今更ようやく、居場所に検討が着く。
零くんは、「よっこらせ」と棺桶の蓋を退かして、縁に身体を預けてはぐったりとする。
きっと蓋が重たかったんだろうけど、わざわざ蓋する必要あるのかな...？
相変わらず、読めない人だ。
「こっちにおいで」
『...？うわっ！？』
不意に、零くんは手招きをする。
大して断る理由もないから、言われるがままに近づけば、腕を引かれて、あたしはすっぽりと彼の腕に収まった。
「ふむ、随分とお疲れさまのようじゃの？外もやけに騒がしかったし...はて、何故かのぅ。」
『...』
その顔は、事情を知ってる顔だ。
零くんは恐ろしい。
どこで聞き付けたのかも分からない情報やらを沢山持っていて、この学院では本当に、ある意味一番敵に回したくない人物とも言える。
どうせ、知ってるんでしょ。と表情に出ていたのか、零くんは一瞬吹き出して、ケラケラと笑う。
「そんなに嫌かえ？"コスプレ"とやらをするのは。」
『月永くんの完全に趣味なんだよ、きっと...だから嫌だよ。』
「1年の時は可愛いアリスちゃんだったのになぁ？」
『ちょっと！！』
おじいちゃんのような口調が一気に若返る。
そして、その声はあたしを揶揄うように笑っている。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
