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暗がりから見えた、俺を映す金色の瞳が絶望で揺らされていた。あの視線を、今でも忘れることが出来ない。
それが能にこびり付いて、より一層おれの
停学期間が明けて、春が近づいてきた頃。
相も変わらず曲も書けないまま、外に出ることもままならず、玄関先まで行けても結局情けなく部屋に逃げ帰る。動悸が激しくなり、目眩をもよおすから。
そんな状態が続いて、父親と愛しい妹がぶつかり合う声が、「もう死んでしまいたい」と強く願わせた。
おれの呼吸とも言えたソレが出来なくなって、他人に迷惑をかけるなら。いっそ今この手で己の首を絞めてやろうかとさえ思えた。
セナAが負けた。
暗闇で光る物体の表面には、1件の通知が来ており、なんとも端的でわかりやすい一文が記されていた。
続けざまに、通知音を立て、また新たにメッセージが1件表示される。
セナあんたのせいじゃない。あいつは、あんたの作った武器は使わなかったんだから。
おれのせいではないと言うのなら。セナは何故Aが負けた事実を、今更おれに突き付けてくるのか。皆目見当もつかなかった。
いつか、人間にこなせるとは思えないスケジュールが組まれていたあの時。突然増えたライブでもAはおれの曲を使わなかった。
"どうしておれが作った曲じゃないの"と零した言葉の答えが、今しがた返ってきた気がした。
「おまえは、優しすぎるんだ...」
手に力を込めれば、グシャッと音を立てて紙が潰れた。
優しさに護られていた、なんて自惚れなのかもしれない。Aの自己満足だったのかもしれない。1人で闘う時くらいは、"おれが与えた武器を使いたくない"という頑なな自己満足。
でもそれが、疲れきって壊れたおれの心には、優しさにしか感じ取れなかった。今更、逃げ出したくせに会いたいなんて思うのも、それこそ独りよがりの「裸の王さま」だ。
次の日になって、おれは玄関で靴を履いた。目眩も動悸も激しいけど、後ろで見守る家族に「いってきます」と笑って見せた。
鞄も持たず出ていくおれは、あまりにも矛盾していて馬鹿に見えただろうけど、家族は何も言わないで居てくれたし、それに甘えた。
久しぶりに吸う外の空気に、ポンッと湧き出るものがあった。
生憎、ペンも紙も持ってきていなくて、近くの公園の地面でおれはそれを書き殴った。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
