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"おまえらの望む夢を叶えてやるよ。おれが一緒に。"
"セナとAは、努力の結晶で、才能の塊で、それは最高の芸術品だから、横目で見てるだけでおれの作曲は止まらなくなる。傑作が作れる。そして。それだけで、おれは幸せだ。曲づくりが、おれの人生だから"
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「勝てる曲じゃなきゃ。じゃないと、おれに価値は与えられない。セナにも、Aにも見放される。敵を蹴散らせなきゃ、意味が無い！」
ガリガリとペンを突き立て、床が削れてしまうような、そんな音が小さなひとつの部屋ではやけに大きく感じた。
停学処分を承け、学院へ来れなくなったれおくんの様子を見に来ただけだった。
泉くんと足繁く通った月永家に着き、顔パスも同然で部屋の前まで通されて、それで、この有様で。
「れおく」
「まって、今は話しかけないで。もう少しだ、もう少しで書けるから。おまえらを勝利に導く曲が、…あぁあ！だめだ！！こんなんじゃまた負けるだろ！」
ぐしゃ！っと手元の楽譜を握りしめ、床に叩きつけた。ぼんやりと光を失った瞳が、あたしと泉くんを映して、「書けないんだ」、とポツリと零した。
「見えていた光が、汚れて汚れて、見えなくなって、息をするのも苦だ、曲が作れないおれはおれじゃない」
それでも、れおくんはペンを離さなかった。またガリガリと走らせては握りつぶして辺りへ捨てる。それが、何回も繰り返された。
そして、数え切れないほど、その光景を目にした頃、あたしはドアに背をつけズルズルとへたり込む。
はくはく、と動くだけの口は、肝心な時に大事なことを、れおくんには伝えてくれない。
泉くんは隣でただ呆然と立ち尽くして、端正なその顔を歪めた。
視界はぼやけて、目の焦点が合わなくなっていって、目の前が、真っ暗になっていく感覚を覚えた。
「ちょっと！？」
泉くんが、ついに声を上げた。その声で、あたしはハッと顔を上げる。
目の前のれおくんは、突然自身の手に噛みつき出した。勢いよく傷つけられた手は、当然のように赤い液体を流して、ポタ、と楽譜に赤い点を咲かせる。
その光景を目の当たりにした時、あたしの中で何か大事なものが、大きな音を立てて崩れていく。
『(そんなにも、追い詰めてしまったの？)』
"だれが駒鳥を殺したの"
頭の中で、三毛縞くんの声が酷いくらいに響いて、脳を揺らす。
かれを、れおくんを、…月永くんを殺したのは、このあたしだ。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
