30. ページ32
*
なにか、
洗脳されそうで音のない、つまんない授業なんか受けもせず。
楽譜は手が塞がる為に持ち歩くのは億劫になって、昔、『これならどう？』と手渡されたネタ帳を片手に、踏めばサクサクと音を立てるガーデンスペースを歩く。
そういや、ここら辺で昔、あいつが歌ってくれたなぁ、なんて思い出して、その時の記憶を頼りに適当に歩き回れば、目的地は見えたもののそこには既に先客がいた。
その先客は、おれが近づいても動く気配はなく、なんなら気づいてすらいない。
「おーい、寝てるのか？寝ちゃってるな、すっごい無防備。あ、降ってきたぞ
1本の木に寄り掛かり、先客はすやすやと寝息を立てている。
そんな無防備な姿に、"女の子なのに"と思いつつも、刺激されたソレが止めどなく溢れてきて、慌ててネタ帳を取り出す。
あらかた書き留めたところで、もう一度目をやるがその先客こと、Aは未だに起きる気配がない。
声をかけるかどうか、悩んで悩んで、そしたらAの片手に1枚の楽譜と、その反対の手にはペンが握られていて、およ？と首を傾げる。
影で気づかなかったけど、傍には纏められた1束の楽譜と、それには及ばない程度のバラにされた楽譜がチラホラと落ちている。
きっと、風で飛ばされたんだ。
散らばったそれらを広い纏めて、順番に並べ直してやれば、1番上にくる楽譜のタイトルに「Knights用」と書かれ丸で囲まれている。
瞬時にそれは、あいつらのために作ってるんだ、と理解が及んで、この件にAが片足を突っ込んでいることに、なんとも言えない気持ちになった。
『ん...』
「あ、おきた？おはよう、Aっ！なぁな、この楽譜さ」
おまえが作ったの？と分かりきったことを聞こうとしたところで、それは叶わなくなる。
『...れおく、だぁ...』
ふにゃっと寝ぼけ眼で笑った。そんなの、破壊力抜群で、おれは「うっ」と声を漏らし、痛くなった心臓を抑える。
暫く悶えていたら『...え、月永くん？なんで目の前でしゃがんでるの？』と覚醒した声で追撃してきて、「寒暖差!!!」と叫びたくなったが何とか口から出ずに済む。
『これ、見た？』
「ごめん、見たっ！散らばってたのおれが集めた！おれってば優しくて天才！わははは☆」
ありがとう、と小さく聞こえた。あぁ、ほらまた
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
