25. ページ27
*
『つまりは、どうして欲しいの？』
「あれ？おまえなら分かってくれると思ってたんだけど...数ヶ月越しにおまえの願いが叶う時がきた。あいつらと勝負をして、おれが勝ったらKnightsを解散させる。な？おまえの望みだっただろ？」
『それは...そうじゃない、けど。』
半分違って半分合っている。だからこそ、またあたしは言葉につまる。あの時のように。
Knightsなんてただの"器"でしかないと思っていた、あの時のように。
『あたしに、壊す手伝いをしろって、そう言いたいの？』
「うん、そういう事っ！相変わらず理解力高いなっ！賢い子は好きだぞ、大好きだっ！」
『ちょっと、近い。』
ガバッと両腕を広げ、抱きついてくる月永くんを、こちらも両腕で拒否をする。けれど、力敵わず、気づいた時にはぎゅーっ♪なんて声とともに抱きしめられる。
ふわっと鼻をかすめる月永くんの匂いに懐かしさを感じた。
「出来ればすぐ答えが欲しいんだ！なんたって、来週だからな。元学院の頂点、再降臨！ってのも悪くないだろ？いや、天才すぎる、面白そうだなっ！」
『さっきからホントにデリケートな所を...』
耳元でキャイキャイとはしゃぐし、こちらには羞恥心という物があるので、小柄を活かして下からすり抜ければ、「ぶーぶー、久しぶりだから少しくらいいいじゃん！」と口を尖らせた。
饒舌に加えて、やけにスキンシップが過度だ。誰だ、月永くんに色目を教えたのは。
『こんなことしても、あたしは仲間にならないよ。もう、壊したいとも思ってない。あたしは、ステージに立つのはやめたの。』
知らないだろうけど、と続けた所であたしは口を閉ざした。これを言ったら、今度こそ君は帰ってこなくなる気がして。だって月永くん、馬鹿みたいに優しいんだもん。
「まあ、そうだよな〜？やっぱり断られるか...うーん、じゃあ共通でテンシにでもするか...。」
『誰だか知らないけど、そうしてあげて』
顎に手を添え唸る月永くんに、素っ気ないが言葉を返して、放置してしまったクッキーを丁寧に梱包する。1個1個小分けにして、あとは纏めて、リボンで括ってあげる。
「それ誰にあげんの？まだバレンタインも先だろ〜？てゆか、髪切ったんだな！そっちも似合うなぁ！あぁ、もっと早く知りたかった！勿体ないことした、くそ〜！」
思わず笑みがこぼれて、忙しないかれに少しだけ救われた気がした。案外、気まずいと思ってたのはあたしだけかもしれない、と思えたから。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
