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また、嫌な夢を見た気がする。だけど、それをどうも思い出せなかった。
けれど今のあたしには都合がいい。嫌な夢には大抵、自分の命よりも大切な2人が登場するから。
『どこ、ここ』
目を開ければ、真っ白な天井が広がっていて、寝起きの頭にここが何処か一瞬思考を巡らせ、結果、出た答えは保健室。
ろくに食事もせず、今日のように紙パック飲料1つで済ませたり、そんな不健康を続けて、積もった塵が山となり崩れてこのザマだ。
しかし、ぶっ倒れたあたしを運んでくれたのは一体誰だろう？
寝起きで鈍った使えない頭で、1番近くにいた彼を忘れてうーんと考える。
「…起きてたんだ。」
『…瀬名、くん。』
不意に、仕切られていたカーテンが開き、そこから登場したのは瀬名くんだった。なにやらコンビニの袋らしき物を片手に持って。
そして、そこら辺にあった椅子に腰掛けて、手にしていた袋を漁り始める。
「口、開けて。」
『え？…ん！？』
唐突に要求されたものだから、条件反射で『え？』と開いた口に何かを押し込まれる。何故か、彼は若干怒っているようで、鼓動が少しずつ速くなる。
「紙パックで許した俺が馬鹿だった。」
眉間に皺を寄せて、瀬名くんは言った。
別に、瀬名くんのせいではないし、食べ物を満足に口にできない自分に原因があるわけで。けれど、そんなことを言った所で「止めなかったのは俺」と言い返されるのは分かっているし、余計不安定にさせてしまうのは分かっている。
だから、あたしは敢えて何も言わずに口に押し込まれたゼリーを味わった。
1人では口にできなかったソレも、何でか味がして、もしかして瀬名くんがいないと食事すら出来ない体になってしまったのでは無いか、とドッと不安が押し寄せる。
「ほら、もっかい口開けて」
『あー、ん。』
まぁ、それでもいっか？とは思った。この美形に毎日お世話されるなら、世の女の子なら願ってもない幸せなんだろうな、と。
このまま素直になれたなら、ヒビが入ってしまったあたしたちの青春が取り戻せるのではないかと錯覚した。
「ふーん。言う割に、ちゃんと食べるじゃん。偉い偉い。お兄ちゃんが褒めてあげるねぇ♪」
『同い歳でしょ？』
「俺より誕生日遅いくせに。」
『１ヶ月しか変わらないくせに。痛っ！？』
ポンポンとあたしの頭を撫でていた手は、あたしの一言で手刀に変わり、痛みを与えてきた。こんなやり取りでさえ、懐かしくて少し嬉しい、だなんて贅沢だ。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
