家族 �� ページ9
その後、サクラから手術は無事成功したという知らせを聞き、リュウも無事見つかったということで、7班もその日の任務は終了、解散になった。
｢...寝ちゃったわね。｣
｢ま、あんなに泣いてたからネ。疲れたんでしょ。｣
眠ったリュウをカカシがおぶり、もうすっかり日の暮れた帰り道を歩く。その手には、リュウが積んできた花が1輪、握られていた。
｢...子供って、分かるんだろうね。親がどんなに隠しても、感じるものがあるんだろうネ。だからリュウもよく分からない不安を抱えてたんだろうな。｣
カカシが本気でリュウを叱った時、私はなんだかすごく泣きそうになった。きっと安堵したのもあるのだろうが、それとはまた違う。でもそれは、喜びという感情の部類だと思う。本気で怒るなんて、本気で相手を思わないとできない。あぁ、この人を好きになってよかったなんて改めて思った。
｢...心配するのも不安になるのも、忍だからとかじゃなく、家族や大事な人なら尚更尽きることがないのかもしれないわね。｣
私がそう呟くと、家族ネ...とカカシが笑った。
｢俺も昔、Aと出会う前に同じようなことで父さんに怒られた。アカデミーが終わっても、家に帰らずひたすら手裏剣の練習をしてて。もちろん父さんを驚かせたかったんだけどネ。その日、珍しく早く帰ってきた父さんに見つかって、こんな時間まで1人で何やってんだーって。｣
懐かしいサクモさんの姿を想像して、私は笑った。
｢...今日、あの時の父さんの気持ちが分かったヨ。｣
今頃になってネ、と苦笑するカカシ。その背中で、リュウがもぞもぞ動いたが起きる気配はなかった。
｢...そういうものなのかも。この子もきっと、今日のことを思い出す日がいつか来るわよ。｣
自分のことを真剣に叱ってくれる人の有り難みと一緒に。
ー翌日、私はリュウと一緒にリュウの母親のお見舞いに行った。
｢あら、これはお母さんの好きな花ね。リボンまで付いてる。｣
朝、一緒に選んだリボンを付けてアレンジした花を真っ先にリュウがプレゼントしていた。
｢俺が見つけたの！ねぇ、元気になった？｣
｢えぇ。リュウのおかげでもう元気よ。ありがとう。｣
嬉しそうなリュウの姿に思わず微笑んでしまう。すると、母親と目が合った。
｢貴方が、カカシさんの奥さんね。この子がお世話になっています。｣
｢初めまして、Aです。すみません、今日カカシは任務で来れなくて。こちらこそ、リュウくんのおかげで毎日楽しいです。｣
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紫(プロフ) - ねこじろうさん» コメントありがとうございます！自己満足でしかありませんが、ひたすら幸せなお話を書きたいと思います。楽しんで頂ければ嬉しいです。 (2017年6月27日 21時) (
レス) id: 99c982b07d (このIDを非表示/違反報告)
ねこじろう(プロフ) - とっても素敵なお話をありがとうございます。 (2017年6月27日 19時) (レス) id: 190dac0399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2017年5月25日 0時
