宝物 �� ページ18
｢サクだって、ナルトくんのこと好きでしょ？｣
｢好きだけど…。｣
まだむくれているサクの頭を撫でながら、Aは優しく話し掛ける。
｢じゃあ、サクはナルトくんと父さん、どっちが好き？｣
｢え？｣
顔を上げたサクと目が合った。サクは少し考える素振りをしたが、真っ直ぐこっちを見て言った。
｢ナルト兄ちゃんと父さん、どっちも好き。好きだけど、父さんはそういう好きじゃなくて...。｣
｢えぇ。父さんも同じよ。父さんもきっと、ナルトくんも好きだけど、サクは特別だと思うわ。だってたった1人の息子だもの。｣
｢...。｣
｢父さんも母さんも、サクが大好きよ。だから、サクよりなんて言ったら父さんが悲しむから言っちゃダメよ。｣
｢...うん。｣
ーその日の夜...
｢ただいま。｣
｢おかえりなさい。もうサク寝てるわよ。｣
ナルトの修行の後、任務が入ったカカシはサクが眠った後に帰ってきた。
｢...サク、なんか言ってた？｣
風呂から上がってきたカカシは、Aが温め直した夕飯を食べながら恐る恐る尋ねる。
｢あの子はカカシに似て、あんまり話してくれないからねー。｣
｢...それは、Aデショ。強がりなとことか。｣
｢ふふ。変なとこ似ちゃったのね。...大丈夫、ちょっと拗ねて帰ってきただけ。｣
そっか...と言って、安心したのか溜息をつくカカシをAは笑った。
｢サクと話してる時、毎回悩むんだ。どんな言葉を選べば、言いたい事が伝わるんだろうって。今日も、もっと別の言い方があったかもって。｣
｢あの子は、私達が思っている以上に伝わってると思うわよ。でも、分かっていても心がまだそれに追いつかない時があるのよ。今日も本当は、ナルトくんの邪魔をしちゃいけないのは分かっていたけど、カカシに少しでも構って欲しかっただけなのよ。｣
そうだね、とカカシが言うのと同時に、お腹の内側から蹴られる衝撃を感じて、Aはお腹を撫でる。
｢...この子もなんか言ってるみたい。｣
｢え、動いたの？｣
カカシも椅子を移動して、Aのお腹に触れた。
｢...ホントだ。動いた。｣
｢もういつ生まれてもおかしくないって綱手様が言ってたの。サクは予定日より早く生まれてきたのにね。｣
｢なんかあったらすぐ呼んでネ！俺、今待機メインにして貰ってるし。｣
Aは、サクが生まれる時の事を思い出して笑った。戦場ですら常に冷静に周りを見て、考え、行動する彼があんなに慌て、取り乱す姿は苦しさを忘れ思わず笑ってしまう程だった。
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紫(プロフ) - ねこじろうさん» コメントありがとうございます！自己満足でしかありませんが、ひたすら幸せなお話を書きたいと思います。楽しんで頂ければ嬉しいです。 (2017年6月27日 21時) (
レス) id: 99c982b07d (このIDを非表示/違反報告)
ねこじろう(プロフ) - とっても素敵なお話をありがとうございます。 (2017年6月27日 19時) (レス) id: 190dac0399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2017年5月25日 0時
