言えなかったコト �� ページ2
｢ふふ。｣
｢なーに笑ってんの。｣
｢カカシに看病してもらうの、初めてだなって思ったの。ねぇ、覚えてる？カカシが暗部に入ったばかりの頃、珍しく高熱を出したカカシの看病してあげたこと。｣
あー...
｢...そんな昔のこと、覚えてないヨ。｣
嘘。覚えてますトモ。思い出したくないだけで。
｢えー、可愛かったのになあ。｣
｢...ホラ。林檎食べなよ。｣
シャクシャクと林檎を食べるAを見つめる。熱のせいで赤い頬に、潤んだ瞳。
無意識に手が伸びて、彼女の滑らかな頬に触れた。
｢...カカシの手、冷たくて気持ちいい。｣
｢やっぱり、具合悪い？｣
｢んー...。でもカカシの顔見たら元気でた。｣
｢..はぁ。適わないな//｣
え？と聞き返してくるAを無視して、綱手様が調合した風邪薬を取り出す。
｢なんでもないヨ。風邪薬飲まなきゃね。｣
ベタだけど、自分で風邪薬を含み、口移しで飲ませる。
｢んっ//...自分で飲めるのに。｣
｢してみたかったのヨ。｣
名残惜しくてもう1度、触れるだけのキスをする。
｢...移っちゃうから、ダメ//｣
｢いーよ。俺に移してヨ。｣
｢ちょっと待って...んっ//｣
そしたらまた、Aに看病してもらうのもいいかもね。
ーその夜、懐かしい夢を見た。
暗部の頃、まだAに想いを告げる勇気もなかった頃の夢。
『...なんでいるの。』
『あ！起きた？』
任務から帰って、怠くて床に倒れたのは覚えてる。でも、俺は今ベッドの上で、目の前にはAがいた。
『はい、お粥。具合どう？』
『ちょっ！//』
急に額を合わせてくるもんだから、俺は慌てるが身体が動かない。
『...まだ熱いわね。ちょっと待ってて？』
台所へ向かったAを見送り、溜息をつく。
暗部に入隊してすぐ、俺は１人暮らしを始めた。思春期ということもあり、好きな女と一つ屋根の下というのも辛かったのと、弟扱いされるのが嫌だったから。
それなのに、俺の複雑な気持ちを知ってか知らずかAはよく俺の部屋に来ていた。
『あ！そこに着替え置いといたから今の内に着替えといてね。』
『...。』
男として意識されるようになるのは、一体いつになるのやら。
暫くして、Aが戻って来た。
『これ、薬よ。よく効くから翌朝には熱も下がっていると思うわ。』
『...どーも。』
『ふふ。こんなカカシを見れるのも、姉の特権ね。』
今、想いを伝えたらどんな反応するんだろ。笑って流されるのがオチだろうな。熱でボーッとする頭で考える。
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紫(プロフ) - ねこじろうさん» コメントありがとうございます！自己満足でしかありませんが、ひたすら幸せなお話を書きたいと思います。楽しんで頂ければ嬉しいです。 (2017年6月27日 21時) (
レス) id: 99c982b07d (このIDを非表示/違反報告)
ねこじろう(プロフ) - とっても素敵なお話をありがとうございます。 (2017年6月27日 19時) (レス) id: 190dac0399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2017年5月25日 0時
