*.**.…Episode 11….**.** ページ11
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屋敷の巨大な門が見えてきた。
この門は歌舞伎町でも名高い徳川大塔龍門と言って巨大な高さ、幅の広さが特徴の徳川家の宝と言っても良い。
門は頑丈で最高級の銀で出来ているため、現に何百年もこの徳川家の屋敷を守り続けている。
屋敷の出入り口から門までの長い距離の間に跨ぐ、広く神秘的な印象を感じさせる庭園を神威と共に進んでいく。
神威は一つ一つが珍しいのか時にキョロキョロと敷地内を見渡したり、天に伸びる噴水の水を掬ったりして中々面白い動きをする。
私はそんな神威が微笑ましく思えて、コロコロ表情を変える彼に惹かれていった。
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門番に帰宅するのを伝えると私たちは徳川の象徴であり、宝である徳川大塔龍門を潜って屋敷の外に出た。
歌舞伎町の駅まで歩けば帰るのに困らないだろうと思ってそこまで送ろうとするが、
「送ってくよ、信女。また変な男に絡まれるの困るでしょ?…それに…、困るのは俺もだけど…」
「どういう事?」
「ほら、さっさと行くよ。アンタ運動神経いい割りにフヌケなんだから…手、離しちゃダメだよ…?」
私がまたもや「何が」と尋ねる前に神威はグイッと私の華奢な手首を掴むと、「もうこの話はお終い」とはぐらかすように引っ張った。
初めてお嬢以外の人との帰り道。
歌舞伎町は所々ライトアップして夜の賑やかさを持ち始めた。私たちはそのうちの一つでもある。
手首から伝わる神威の体温は嫌なくらい心地良くて……。
強い力で引っ張られて強引さがあるのに離して欲しくなくて……。
私は彼にとてつもない程に安心している。彼という存在が在る事にとてつもなく安堵している。
この彼に対しての説明し難い想いは膨れていくだけ……、
今も膨れ続けている。
いつか、弾ける時が来るだろうか。弾けたその時はどうなるのだろうか。
切ないのか、嬉しいのか、苦しいのか、もどかしいのか……。
ただ_______________……、
分からないくらい愛しいの、貴方が。
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威信 - すごく面白かったです! (2020年1月21日 19時) (携帯から) (レス) id: effeeaf02a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年6月21日 0時