四十躍 悩んでるなら悩みの種に直接ぶつかって解決しろ ページ39
「メン!」
カン、カン!パァン!!
茜色に染まった夕陽だけが差し込む放課後の武道場。ここは剣道部の活動場所であり、土方の朝練の稽古場でもあった。
カァン!
最後の一太刀を受けた土方は少しよろめいたが、すぐに床に突っ伏してしまった。それくらい長い時間本気で放課後の稽古に向かっていたのだ(だが、因みに今日は剣道部は部活なしである)。
「トシ、最近鈍ってきたんじゃないか?」
土方の稽古の相手をしていた近藤は息を切らしながらも床に突っ伏す土方の元へ肩に竹刀を担ぎながら歩み寄り、手を差し伸べた。
近藤の質問に眉間に皺を寄せた土方は、近藤の手を取り立ち上がる。そして溜息交じりに言い返す。
「何言ってんだ近藤さん。毎日どっかの馬鹿みたいにサボってる訳でもねェのにそんな筈ねェだろうが」
「確かにそうだが、俺が言うのはそう言う事じゃなくてな…」
「なんだ?」
土方が言うそう言う事ではないのなら一体どう言う事なのだろうか。近藤は若干下に目を泳がせながらも遠慮気味に問うた。
「なぁ、トシ。答えたくないならいいんだが……最近、何か悩んでるんじゃないか?」
「…っ」
「まあこれはただの俺の勘なんだがな」
「…いや、アンタの言う通りだ。実を言うと悩んでる事がある」
土方は「ガラでもねェが…」と付け足すと床のわずかに差し込む夕陽の影を見つめながら暫くして俯いて話し始めた。
「……ミツバの病状が悪ィ方向に行ってるらしいんだ」
「なっ!…ホントなのか!?」
「…嘘なら良かったんだがな。でも、俺とあいつは幼馴染だ。あいつの事は総悟と同じくらい知ってるつもりだ。ミツバの身体は一度悪化すると中々治るのが難しい。それに悪化中は高熱が二、三度出てマジで危ねえ状況になった事もあるんだ」
「…治る目星はあるのか?」
「…分からねェ。知名度の高い有名な医者か、より優れた技術で作られた下剤で今まで治してきたんだ。きっと、治る筈だ」
「なるほどな、大体トシが悩んでる事は分かった。だったらとっとと稽古なんかやってないでミツバさんトコに行ってこい」
近藤はバシッと土方の背中を叩くとニカッと土方に笑いかけた。土方は僅かに驚きに目を見開く。
「はぁ⁉何言ってんだよ。ただでさえ悩んで鈍ってんのに…」
「だからこそ行ってこい。ミツバさんは今でも病気と戦ってる。なら、幼馴染の役目は何だ?…隣で一緒に戦う事だろう」
土方は近藤の言葉に暫く黙っていたが、程なく武道場を飛び出した。
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時