5話 ページ6
何だかよく分からないが少し甘い空気になっていると小柄な子の声でお互いハッと我に返った。
「…あ―渚君ごめんごめんw」
『渚…?』
「うん、僕は潮田渚、よろしくね雫川さん」
渚はニコッと可愛らしく微笑む。思わず抱きしめたい衝動を抑えこちらもよろしくと返す。
その後何かが引っ掛かる感じがした。
«渚“君“»
………………ん?君付け?
『赤羽君て女子にも君付けするの?』
真剣な眼差しで訊くと二人は一瞬固まり、カルマだけはお腹を抱えて笑いだした。渚の方は半ば放心状態だ。
二人の反応に意味が分からずチラッと下に視線をやるとズボンが見えた。いやズボンが見えるのは当たり前なのだが問題は――……
『渚ちゃんが……ズボン履いてる』
信じられない光景を見、驚きのあまり心の中で思っていた事を口に出してしまった。
「渚ちゃん!?」
「渚…ちゃんw」
『え……………男?』
「いや正しくいうと女の娘…かな―、ね?渚君」
「ね?って誤解を招くようなこと言わないでよ!?カルマ君!!」
『…女装趣味なの?』
「趣味じゃないよ!?」
渚君つっこむの上手いな……。
それにしてもこの二人を見ているとE組にはいい人達ばかりなのかなと思えてくる。本校舎の人達のある違和感がカルマや渚には一切感じないのだ。
本校舎のしかもA組の私がいるのにカルマと渚は気にしないで対等に話しかけてくれてる。本校舎の人達に差別されているからもう少し軽蔑するかなとか思ったのだけども…。
恐らくカルマは素行不良と言われているぐらいだから停学をくらってE組いきになったのだろう。
一方渚の方は成績関係でE組に落ちたのだろう。とてもじゃないけど暴力を振るう人には見えない。
「どうしたの雫川さん?」
ボ―…としながら考えていると渚の声で渚が自分のことを心配しているのが分かった。
何回か声を掛けてくれていたらしいがあまりにも無反応だったので不自然に思えたのだろう。
『…いや、何もないよ』
「ふ―ん。あ渚君一緒に帰ろうよ、あの話したいしね〜」
「相変わらずカルマ君て懲りないよね…」
何の話……?
「え…と…、気にしないで、大したことないから」
どうやら声に出していたみたいだ。少し気になるも深入りするのは良くないと思い、変に訊くのは辞めておいた。
その後結構仲良くなり、途中まで二人と一緒に他愛のない話をしながら帰った。
明後日どうなるのか知らずに……
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作者名:あやか | 作成日時:2017年12月15日 7時