9話 ページ10
Aにそっくりな、Aという女と会ってから三日ほどだっただろうか。
相変わらずの暑さに、俺は参っていた。
「暑ィ。」
数日前も同じことを言った気がする。
外も暑いが、万事屋の中もそれなりに暑い。
クーラーなど付いているはずもないこの木造家屋で、暑さを和らげる唯一の道具は扇風機である。
そんな蒸し暑い室内にいるのは、俺だけだった。
新八は実家で姉とお盆を過ごすと言い、神楽は万事屋が暑いからそよちゃんのところへ行くなどとぬかしていた。
粗相を起こすのではと心配にもなったが、暑さのせいでそれを考える事すらも面倒くさかった。
「アイスでも食うか。」
不意に冷たいものが恋しくなり、俺は思い腰を上げ、買い物へ行くことにした。
・
「あ。」
「坂田銀時さん。」
家を出た矢先、先日の女と出くわした。
紺色の髪の毛をした、Aという名前の女。
また会っちゃいまいしたね、という女に、堅苦しい呼び方はやめてくれと告げる。
「お前、ここら辺に住んでんの?」
「はい。
最近来たばっかりで、まだこの町に詳しくはないんですけどね。
ところで坂田さん、は何をしに?」
坂田さん、なんて呼ばれなれない呼び方で呼ばれたものだから、少しくすぐったい。
当の本人も呼び慣れないらしく、クエスチョンマークがつきそうな、たどたどしい呼び方であった。
「俺はちょっと買い物に。
そうだ、
お前も来る?」
俺は返事を聞かず、彼女の腕を引いた。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時