Episode 42 il mistero ページ3
｢どうしたのアバッキオ？！｣
Aが慌てて立ち上がり、クローゼットからハンカチを取り出しアバッキオに渡す。
アバッキオは｢ありがとな…｣と苦しそうに礼を告げ、震える手で受け取った。
｢お茶が気管に入ったのかな…大丈夫？鼻かんでくれても構わないから｣
｢お前の良心と心の広さに感謝するよ…｣
口元にハンカチを当て、いつもよりも死んだような虚ろな目で虚空を見つめるアバッキオ。その態度が何よりAの不安を煽った。
｢なぁアバッキオ、どうしてむせたんだ？｣
ミスタがアバッキオの肩に手を乗せる。その笑顔には、腹黒さが滲んでいた。
｢期待したのか？自分が選ばれると思ってよォ｣
｢んなわけねぇだろボケ！違ぇよ…｣
はぁ、と溜息をつき、肩に乗せられたミスタの手を払う。
｢オレもとある人に同じようなことを聞いてくれって頼まれてきたんだよ。名前は言わねぇがな｣
｢お前も？！お互い苦労するな…｣
ミスタがアバッキオの手をとる。｢気持ち悪ぃ｣と罵っていたが、嫌がっているようには見えなかった。
｢…で、どうなんだ？｣
｢わ、私…？｣
｢お前以外に女はいねぇだろって！この六人の紅一点なんだぜ？｣
ミスタがニカッと笑う。
しかし、Aの反応は芳しいものではなかった。
｢ごめんなさい。期待に添えるような回答はできない…｣
｢そりゃどうして？｣
両手で紙コップを抱え、俯くAにミスタが問いかける。
＿＿Aは顔を上げ、二人の顔を見る。
その表情は、どこか申し訳なさそうで。
潤んだ瞳は、確実に二人の瞳を映した。
｢私、まだ分からないの。幸せも、楽しさも、みんなに教えて貰ったけど｣
自虐的な笑顔を浮かべながら、話し続ける。
｢でも、昔からこれだけはずっと分からないの。人を愛することっていうのかな｣
ミスタとアバッキオは、その瞳に釘付けになる。
｢“愛情”だけ、どうしても分からないの｣
哀愁漂う彼女の瞳に映る二人の顔が揺れる。
確かに、二人は彼女の瞳を“みつめた”のだ＿＿
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東雲(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます！ そうなんですね！実は私も恋愛オチ描くのとっても苦手で……楽しんでもらえて何よりです！これからも宜しくお願いします(*´∀｀*) (2021年1月14日 21時) (
レス) id: cd64537380 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - とても面白かったです！自身がいちゃいちゃは平気なのですが恋愛、オチがあるのモノが苦手なのでとても楽しく読めました！(自分語り) (2021年1月14日 15時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - ナナナさん» 初めまして！コメントありがとうございます(*^^*) 本当ですか？！そう言って頂けるととても嬉しいです！ 時間に余裕がある時に、また色々検討してみますね。これからも宜しくお願い致します^^* (2020年9月20日 11時) (レス) id: 1294c5e31f (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ(プロフ) - あの！初めまして。私5部の皆の事が本当に大好きで、この作品も大大好きです。よければそれぞれのオチのお話も読んでみたいです…！最高でした！ (2020年9月6日 20時) (レス) id: 6431d8432b (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 野菊さん» いつもありがとうございます！わ〜！有り難きお言葉……！(＞＜)ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月11日 8時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 | 作成日時：2019年1月11日 20時
