Episode 59 “Io” ページ20
｢Aッ！大丈夫ですか？！｣
フーゴがAに駆け寄る。
安心したせいか、全身の力が抜け、Aは糸がプツリと切れたあやつり人形のように、その場に目を伏せてへたり込む。
｢怪我はありませんか？｣
｢う、うん…大丈夫……｣
俯きながら、Aは暗い声でそう答える。
｢オイオイコイツら…隣町のチンピラじゃあねぇか。まさかAを追ってここまで来てたのか…｣
ミスタが一人の男の財布から免許証を取り出し、気持ち悪そうに地に叩きつける。
｢どうしてそんなにAを執拗に狙ってたんですかね｣
フーゴがAの手を取り、立ち上がらせる。
ふらふらとした足取りで、それでも何とか地に足をつけたAは、ずっと自身の靴を見つめている。
｢…オレ、何となく分かるよ｣
ナランチャがゆっくりとAに近づく。
露骨に俯きながら、Aは拳を握った。
｢なぁA。お前、やっぱり“スタンド使い”なんだろ？｣
ナランチャの言葉に、フーゴとミスタは目を大きく開いた。
｢ちょ、ちょっと待てよナランチャ！Aが？そんな訳ないだろ？｣
ミスタはナランチャの背中にそう叫んだあと、俯くAに目をやる。
｢…ねぇA。どうして顔をあげないんですか？｣
フーゴの優しい声に、Aはビクリと肩を震わせる。
｢…分からない。でも、いま目を合わせると…三人に何が起こるか分からない｣
Aの発言に、ミスタが｢な、何言ってるんだ？｣と混乱を始める。
｢きっとAは気がついているんだ。自分に何かしらの能力があるってことに。でもその正体が分からねぇんだ｣
だよな、とナランチャが尋ねると、Aはこくりと頷いた。
｢…私のお父さんも、同じ能力が使えたんだって。昔聞いたことある｣
ぽつりぽつりと言葉を紡ぎながら、Aは話し始める。
｢お父さんはこの能力を“ワン・ヴィジョン”って…そう、呼んでた｣
いつの間にか、雨は小雨程度になっていた。
｢瞳を見つめたものに、何らかの効果を与えるんだって。まだ使いこなせないけど、少しだけなら、使い方がわかる。でも、その程度｣
三人は黙って話を聞いていた。
傘なんて持ってないけれど、雨なんて気にならないくらい、三人はAの話に引き込まれていた。
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東雲(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます！ そうなんですね！実は私も恋愛オチ描くのとっても苦手で……楽しんでもらえて何よりです！これからも宜しくお願いします(*´∀｀*) (2021年1月14日 21時) (
レス) id: cd64537380 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - とても面白かったです！自身がいちゃいちゃは平気なのですが恋愛、オチがあるのモノが苦手なのでとても楽しく読めました！(自分語り) (2021年1月14日 15時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - ナナナさん» 初めまして！コメントありがとうございます(*^^*) 本当ですか？！そう言って頂けるととても嬉しいです！ 時間に余裕がある時に、また色々検討してみますね。これからも宜しくお願い致します^^* (2020年9月20日 11時) (レス) id: 1294c5e31f (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ(プロフ) - あの！初めまして。私5部の皆の事が本当に大好きで、この作品も大大好きです。よければそれぞれのオチのお話も読んでみたいです…！最高でした！ (2020年9月6日 20時) (レス) id: 6431d8432b (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 野菊さん» いつもありがとうございます！わ〜！有り難きお言葉……！(＞＜)ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月11日 8時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 | 作成日時：2019年1月11日 20時
