86話 寝惚け ページ46
「レティさん落ち着いてください。オスマンさん、貴方もですよ?」
エーミールさんの制止の声にオスマンさんがほくそ笑んで「ごめんめぅ〜」と謝っていた。
レティはまた桃色で綺麗な唇を噛んでいた。
「折角の機会ですよ?それにご飯も冷めちゃうので食べましょう?」
…さすが…教授兼、総統補佐官。
「…いただきます」
少し冷めたスープは私には丁度いい温度だった。
レティがずっと睨んでくるがもう気にもならない。自業自得って言葉を教えてあげたい。
そして、結局その日は何事もなく時間が過ぎ夜が明けた。
朝、目を覚ましたら目の前にゾム先輩。
頭の回転が上手く回らない中、必死に理解しようとした。
「おはよう、A」
「おはよう、ございます……先輩」
にししと笑いつつ、その右手には爆弾があった。これは一体どういう……
「…それ、どうしたんですか…?」
「ん?この爆弾はグルッペンへの土産。戦争で使えそうなもんパクって来てん」
「なるほど……」
確かに、あの方なら大喜びだ。
「俺が居なくて寂しくなかったか?」
「…半日いなかっただけじゃないですか」
先輩は死ぬ訳ないし、多分すぐ帰ってくるってわかってたし。
「…ッヒヒ、お前ほんま俺の事好きやな〜!」
「悪いですか?」
「……へ?」
虚をつかれた様な顔をするゾム先輩。あんたが言い出したんでしょうが。
ニヤける口を隠すように手の甲で口元を隠している。その頬はほんのり赤くなっていてニヤけているのもバレバレだ。
「…なに照れてるんですか…?」
「べ、別に照れとらんし!?寝ぼけてんとちゃう??」
こうした姿を見ると、本当にこの国で一番強くて、『味方最大の脅威』って呼ばれてるのが不思議に感じる。
「……ホンマに?ホンマに俺の事好き?」
「…好きですよ。どういう好きかはまた別として」
「…いっひひひ……」
気持ちの悪い笑い方をして喜んでいる先輩…
いつからそんなに乙女チックになったんですか。
「んふふ、ほなAも起きや。食堂行こか」
「はい…」
手を掴まれて思いっきり引っ張られる。予想以上の力で引かれ体が先輩の方に傾く。
抱きとめてくれた先輩が楽しそうな声音で言う。
「おっと…危なかった〜……ちゃんと体に力入れとき?」
……確信犯め。
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時