64話 雪村桜花 ページ23
Aside
いつも通りの帰り道。なんか雨降りそうだな、傘もってきてないんだけどなぁ…
…あ、今日お母さん家にいない日じゃん、洗濯物込まないと…
「雪村さん、この書類職員室に届けておいてくれないかな?」
クラスメイトらしい子が紙の束を渡してきた…自分で行けよ、と思いつつそれを受け取る。
「ありがとう雪村さんっ」
友達らしき人たちと帰って行く姿を見て、やはり違和感を感じた。
…変だな、いつもと同じなのに……
…なんでだろう、分からない。どうして皆の顔が見えないんだろう。思い出すことも出来ない。
書類を渡してきた彼女も、それを渡した先生も…母親も父親の顔も、全部分からない。
…いつも、通り……?
「…ここは、どこだ」
「…見つけたで、先輩」
…声をかけられ、なんだろうと振り返り…衝撃が身体を走る…
どうして、この人の顔は見ることが出来るんだろう。
「…誰、ですか……?」
「…そっか、先輩は分からないか」
私のことを先輩と言う…この人は、私の後輩…なのか…?
顔も分からないから知らずのうちに知り合ってただけかもしれない。
「先輩、分かってるんでしょ?」
「…え?」
なんの、話をしてるんだろう…この人は。
「…思い出してくださいよ、あなたを待ってる人が沢山いるんです…」
「…私が居なくても、国は回っていく」
待ってる人…?私を待ってる人なんて、この世にいるわけないじゃん。
「グルッペンさんも、しんぺい神さんも、シャオさんとコネシマさん…大先生もショッピも…ゾムさんも、あなたを待ってるんです」
「今更、なにさ…私は、私はただ認めてもらいたいだけなのに…」
何訳の分からないことを言ってるの…?みんな知らない、知らない……
「先輩…帰りましょう」
「…帰れないよ、名前が分からないもん…何も、知らないのに…」
私の、私の名前は……
「…そっか、先輩の名前は…桜花さんだったんですね」
「……。…うん。だった、か………なぁ…私の名前を教えてくれないか…」
彼はにっこりと人の懐きやすい笑顔で言う。
「…A……A・フリージア」
「A、か……私は愛されてた?ここよりずっと、認めて貰えてた?」
「…貴方を認めない人はもう居ませんよ。A先輩、掴んで?」
差し出された手を簡単に掴んでしまう…私は単純だ。
手を取った瞬間、体がふわっと軽くなって…
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時