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63話 守れない手で無事を祈り ページ22

ゾムside


いつも通り仕事をこなしていた。そしたら突然、インカムから大声が聞こえてきた。ロボロの声やった。


『ゾム!聞こえとるか!?』

「おん、どうかしたん?」

『Aさんが呼吸しとらんって!脈も弱なってきとるからすぐに医務室に来てくれってしんぺい神が!』



……A、が…?うっそやろ、ありえへん…

「すぐ行くわ」


今日提出の書類なんかやってる場合ちゃうな。直ぐに行かへんと…


医務室に直行すれば中でグルッペンとしんぺい神が頭を抱えとった。

「しんぺい神Aは!?」

機械音がなる医務室の中、苦しそうに顔を歪めたしんぺい神が言う。


「徐々に脈が弱くなってる…このままじゃ時間の問題だよ」

酸素マスクを口にして寝ているAの姿はやはり痛々しい…


そばに駆け寄り力の入っていない手に優しく触れる。…Aは疲れてもうたんかな。

「…守ってあげられんくて、すまんかった……」



バン!と大きな音を立てて入ってきたのは真剣な顔をしたチーノだった。

「…A先輩は?」

「見ての通りだ…」


泣きそうなのを堪えて、唇を噛んでいる…A、お前は愛されてんで……

待ってるやつ、沢山おんねん。


「…このままA先輩が居なくなったらこの国は終わりますよ。あんた、誰よりもこの国のこと考えたやないですか…

ここで終わらせるんか、中途半端に…A先輩らしくないで、そんなん……」



言葉の途中でチーノが黙って目を見開いた。走って医務室を出ていき、俺たちは思わずあとを着いて行った。

チーノが止まった場所は、食堂にある大きな絵画の目の前。



「…チーノ……?」

じっとその絵を見つめていたが、ふぅっと大きな息を吐いて俺たちのほうを向く。

「…グルッペンさん、ゾムさん、しんぺい神さん、俺が先輩を連れ戻してきます」


決して、俺たちをおちょくっている訳でもなさそうだった。その目は、覚悟を決めた時のAにそっくりだった。


「…チーノ、Aの事頼んだで」

「…ゾムさん……」


大事なヤツを自分の手で守れん事は、確かに悔しい。悔しいけど…Aにまた会うためなら、仕方ないんや。

不甲斐ない先輩で、すまんな。


「その変わり、Aになんかあったらチーノの事シバキ倒すからな」

「…任せてください」





医務室に戻り、チーノがAの横のベットで眠る。

…二人とも、頑張れよ。

64話 雪村桜花→←62話 久しぶり、あの世界



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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年6月6日 9時

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