『文豪ストレイドッグス』飲んで呑まれて愛を引く<短編集>

花見酒『探偵社オールキャラ』※ららさんリクエスト ページ33

夜桜最高。今日は仕事帰りに全員で花見に行こうという訳だ。ブルーシートを敷いて、銀色の桜を背景に皆で持ち寄ったツマミを紙皿に分ける。各自で買った缶を持って、全員で掲げる。

「あー、それでは。俺が音頭を取らせて頂く。社の命運と名誉、そして」
「ああん、堅い堅い！国木田くぅん、堅いよ〜？」
「煩いぞ太宰！Aさんと与謝野先生は勝手に始めないでくれ！」

誠心誠意で熟す国木田を茶化す太宰。勝手に缶を開けて始める私と与謝野先生。

「国木田、正式な場じゃないんだから軽く済ませてくれない？」

ダメ出しを繰り出しながら駄菓子を頬張る乱歩さん。社長は寄ってきた猫と戯れていた。谷崎兄妹は……通常運転と言っておこう。
真面目に聞いているのは、敦君、鏡花ちゃん位だろう。

「だ、誰も聞こうとしてませんね……」
「全く、何時もこうなるのだ……何故、俺がこんなにも頭を抱えねばならんのか……」
「はーい！んじゃあ代わりに私が音頭やりまーっす！」
「Aさん！？」

マイクを毟り取り、酔っ払いテンションで叫ぶ。目を丸くする国木田、敦君を取り残し、グラスを掲げる。

「はーい、いっせーのーで！」
『かんぱぁい！』

与謝野先生、乱歩さん、太宰、私。四人の大斉唱。宴がやっと始まる。国木田にマイクを押し付け、私は敦君と鏡花ちゃんの元へ。二人の肩に手を回す。

「若者！もっと気を楽にさ！」
「は、はぁ……」
「気を楽にする。わかった」

敦君のわかっていない返事。対して、足を崩して缶のお茶に口を付けまったりとし出す鏡花ちゃん。彼女の頭をガシガシと撫でる。

「そーそー！その調子で楽しんで！」

唯のウザ絡みになっては来ている。国木田が太宰と言い合いをし出したので、二人の間に割って入る。二人の腕を掴み、頭を下げさせる。

「ふったりとも仲が良いねぇ！良いぞぉ？火事と喧嘩は江戸の華ってなぁ！あっはははは！」

下がった頭をガシガシと撫でる。二人とも少しばかり呆気に取られていた。其の儘固まる国木田。抱き上げてきた太宰は、私に頬擦りを始める。

「本っ当にAさんは元気で良いねぇ！三十路とは思えない若さ！お人形さんが走り回ってるみたいだ！」
「嬉しいね！でも心中はしないぞ！」
「変わらぬ態度でちゃっかり否定！そんな所も痺れるよ！」

撫でくり回す太宰から私を救ったのは、固まっていた筈の国木田だ。私を太宰から取り上げ、地に下ろしてくれた。

※→←※

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す