カルーアミルク『樋口一葉』!百合注意!※アヤさんリクエスト ページ26
帰り時。土砂降りの雨。溜息を吐く。こんな日は憂鬱になる。太陽の様なあの子の笑顔が見たい。そんな事を思いながら傘を差す。
「よォ、一人か?」
「……中原幹部……」
傘を肩にかけた瞬間に声がかかり、後ろを振り向く。帽子が特徴的な身長低めな男が居た。私から出た声は非常に無感情だった。鼻で笑われる。
「相も変わらず、手前は愛想がねェ奴だ」
「……男に愛嬌振りまき、媚を売るような売女では無いので」
「可愛くねェな」
一言告げると、勝手に傘に入り込む幹部。失礼にも程が無いだろうか。嫌がらせをしたくなり、傘を横に薙ぐ。
「……如何云う心算だ?」
「相合傘の特等席は、一葉さんの為にある。男が入る位ならば、私は濡れて帰ります」
「……酒、奢ってやるって云ってもか?」
段々と冷える身体。アルコールは有難かった。然し、私の隣を歩かれるのは迷惑な話だ。中原幹部に傘を押し付ける。
「相談、聞いて下さい。それで了知しましょう」
「素直じゃねェなァ」
中原幹部の言葉を無視し、早足で私は近くのBARへと足を進める。構成員の御用達なので、チグハグな歩幅の中原幹部と私でも、共に到着することが出来た。
「いらっしゃいませー」
気の抜けた店員の声を聞き流す。カバンからタオルを取り出し、髪と服を軽く拭う。仕舞おうとしたら、黒い手にタオルをかっ攫われる。
「一寸、辞めてください」
「良いだろうが。減るもんでなし」
「ホットのカルーアミルク、一つ。度数高めでお願いします」
中原幹部の言葉を無視し、隣に腰掛ける。軽く手を挙げ注文をした。私の態度に、何やら思う節があるらしい幹部様。コメカミに血管が浮き出ていた。
「手前なァ……そんなんだと、何時か芥川に盗られンぞ」
「心配ご無用です。そうしたら何度でも惚れ直させましょう」
ぷい、と顔を逸らして無表情で答える。彼女は冷静な人が好きならしいから。中原幹部は溜息を吐く。
「ハイハイ、ソーデスカ。仲が良くって何よりだ」
「どうも」
呆れたように呟く中原幹部。タオルを返されたので受け取る。
そう。構成員の中では一寸有名な組み合わせの私達。異能を持たずに銃火器で応戦する彼女と、異空間からの抜刀で身体強化もする戦闘系異能者の私。女二人とは思えない程の立ち回りをする事で名を上げたのだ。
……彼女の憧れの為というのが、心苦しいが。
「彼女、本当に魅力的ですから。私も其処らの男に負ける訳にはいきません」
席に来たグラスを一気に煽った。
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いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ! に、しても評価凄いですね!Σ(゚ロ゚;) (2020年6月21日 14時) (レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました!お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね!私は分かっているのさ!」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました!リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか? (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか?天人五衰のゴーゴリ君っていいですか?シチュエーションは何でも構わないのでお願いします!仕事帰りに癒されたい!どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jazz | 作成日時:2019年4月26日 19時