【マギ】願い事 Ⅱ (ページ10)

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45話ページ10

「はぁ。」

部屋についていたバルコニーに出ると
幻想的な夜景を眺める事が出来た。

やはり、
何か大切な物を無くしているような…

父が知らぬ間に死んでいたことについて
こんなにも心が荒んでいるのか

考えても答えは出そうにない

「…気持ちいい。」

肌を撫でる心地良い風が
沈んだ気分を少しだけ慰めてくれた

そんな時

「ッ…！」

まるで矢が通り過ぎた後のように
鋭い風が部屋に吹き込んだ

「御気分は如何かな、お嬢さん？」

…え？

くるりと振り向くと
私の部屋の中央に見知らぬ男が立っている

賊？

…いや、見るからに身分の高そうな貴金属を身につけているし

部屋を間違えた？

…いや、ドアの開く音はしなかった

数度、自問自答を繰り返すも

納得の出来る答えは出なかった

「…誰？」

ポツリと漏らした言葉が届いたのか
笑顔だった男の顔から表情が消えた

「A…？」

「何故、私の名を…

もしや、昔何処かでお会いしたことが？」

取り敢えず、誰かが来るまで怒らせないようにしなくては。

重要な客人にしろ、賊にしろ
話は通じるようだし…

「…俺のことを全く覚えていないのか？」

「申し訳ございません。
…この国に戻ったのは一昨日のことでして」

「…そうか」

なんで、そんなに
寂しそうな顔をするの…？

でも、何処かで見たような…？

『A…俺は…』

ジリッ

「痛ッ…!!」

＿＿＿＿見た事のない土地だ。

そしてこれはこの男？

「無理をするな、今すぐ思い出すのをやめ＿＿＿＿」

「寄るな！」

頭の中が…グチャグチャだ。

コンコン

「A様どうされました！？

失礼いたします」

＿＿＿＿＿アリス。

「どうなさいました？」

「頭痛が酷くて…」

「それは大変です。A様はお休みください、私は主治医を呼んで参ります」

金髪を靡かせながら
慌ただしくアリスはこの部屋を後にした

寝台に横たわると

風に吹かれ
カーテンが揺れていた

＿＿＿＿あの男は何者だったのだろう？