【マギ】願い事 Ⅱ (ページ33)

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68話ページ33

ジャーファルside

「うわぁ～ラブラブだねぇ～♡」

「それにしても
ここまで来るのは長かったな」

「いいなぁ～いづれ私も…」

「ボンクラ魔道士には一生無理だな」

「なんですって！？剣術バカの女ったらしよりは早く恋人ぐらいできるわよ！」

「なんだとぉ～!?」

「ダメですよ二人共。」

二人を制して遠隔透視魔法を止めるようにヤムライハに促す

ヤムライハの魔法により壁に映し出された二人の姿ぶプツリと途絶えた

聞こえるのは壁の向こうから聞こえる
二人の声だけ

なんとなくシンに目を向けると
やり切れない様子で笑っていた

…なんだ、シンこそ
けじめつけられてないじゃないですか。

私が思っていた以上に
シンは本気だったみたいですね…

「さぁ、みんな仕事に戻るぞ」

目が合うとすぐにそらして
廊下を歩いていってしまう王の姿に

追いかけようか迷った挙句、
追いかけた

＿＿＿＿愚痴でも聞いて差しあげましょうか。

.

.

.

杯を片手に窓の外を見つめる大きな背中。

「酒は禁止だと言ったはずですが？」

「いいだろう、今日ぐらい。

…二人に祝杯を挙げねば」

弱気な声に
責め立てる心も消えていく

「…そうですね。私も飲みたい気分です」

「お前は強いなジャーファル。

それに比べて俺は…みっともない」

「そうでもありません。
今回は立派だったと思いますよ貴方は」

「なんでだろうな…女性なんてこの国にも世界にも沢山いるのに、何故たった1人の人間にこんなにも固執してしまうのか。」

「外面を見抜き、弱さを知り、側面も知り、その上で貴方の傍に控えると言った彼女だからでは？」

「…彼女のような女性はもう現れまい」

「マスルールと添い遂げるからと言って彼女が貴方の臣下を辞めるとでも言いましたか？

…彼女は貴方の隣できっと支えていてくれるはずです。これからも大切な仲間として」

「…そうか。そうだよな」

「ええ。でも、
手を出すのは許しませんよ」

「わかってるさ」

杯に入った酒を一気に飲み干して
こちらに振り向くと

「この世界をAやマスルールのように大切な人たちが笑って過ごせる世界に、俺達が作り替える。

＿＿＿＿ジャーファル、これからも俺に力を貸してくれるか？」

「もちろんです。我らが王よ」

さっきの弱々しい姿は何処へやら。

威厳たっぷりの我らが王は

どこか遠い未来を
見つめているようだった。