【マギ】願い事 Ⅱ (ページ32)

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67話ページ32

「もちろん。」

いつもと違う雰囲気を纏う
彼と視線を交える

「俺、ずっと前から考えてた事があるんです。

Aさんが居なかったら俺はどうなって居たんだろうなって。」

「うん」

「Aさんが初めて俺にすべて打ち明けてくれた日。正直戸惑いました。

Aさんは、
こんなところに居るべき人じゃないと。

…だけど、それと同時に、何時までも俺のそばにいて欲しいとも思いました。」

少し間を開けて

一度視線を外してから
また顔を上げると

覚悟を決めたように
ゆっくりと口を開くマスルール

「その時に悟ったんです。

…Aさんの事を親愛とか、
そういうのでは無く、
恋愛対象として好きなんだと」

マスルール…。

「だから、姉としてでは無く恋人として隣に居てくれませんか？」

マスルールの真っ直ぐな瞳に耐えられず
視線を床に落とすと

緊張で乾いた喉をお茶で潤した

「じゃあ、私からも一つだけ質問。

…例え私がこれからどんな人間になっても側にいてくれる？」

…シンに仕えるという事は
彼の業を共に背負うということ

私はきっと
＿＿綺麗なままでは居られない。

顔を挙げられずに
沈黙だけが部屋の中を流れて行く

「…Aさんの事っすから難しい事でも考えてるんでしょうけど、
貴方が罪を犯せば俺は怒りますし、貴方が泣けば泣き止むまで待ちます。

…俺が貴方の側を離れるなんてありえません」

肩に置かれる大きな手

「ありがとう…」

目の前にしゃがみ込んで
私の頬に触れて涙を拭う

「美人が台無しっすね」

マスルール優しい瞳が
私の視線を捉えて離さない

「泣くのは俺の前だけにしといてください。

…Aさんにそんな顔されたら
抱きしめない男はいないと思いますから」

静かに顔を寄せ唇を重ねる

そのまま肩に寄りかかると
優しく背中に腕を回された

「私もずっと、マスルールの事大好きだった」

「遅くなってすいません」

「ううん、私の方こそ」

大きな背中に腕を回すと

ギュッと力を込めて抱き着いた

＿＿＿＿私今、すごく幸せだよ

嬉し涙が
目から溢れて止まらなかった