【マギ】願い事 Ⅱ (ページ31)

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66話ページ31

政務室に少し顔を出してから

湯浴みをして自室に戻り
荷物の整理の続きを行い

気がつけば
窓の外には夜の帷(とばり)が降りていた。

今ならまだマスルールは寝てないよね…

自室の扉を閉めて
マスルールの部屋へ歩を進める

コンコン

「入っていい？」

「どうぞ」

私の部屋より広くて片付いた部屋

ベッドとソファーなど
最低限の家具が置いてあるだけだ

「そこに座ってください」

「マスルールがお茶出してる…」

「俺が出したら悪いっすか」

「素直に驚いたの」

「最低限の礼儀ぐらい俺にもありますよ。

クッキー食べます？」

「ありがと、でもいいや。夜は太るから」

適当な会話を交わした後
私の向かいに腰掛けると

マスルールは
一つの高級そうな箱を取り出した

.
.
.

マスルールside

「これ、どうぞ」

あの時貰った
エメラルドグリーンのネックレス。

元々彼女に上げるつもりだった為
彼女に渡すのに抵抗は無い

「これって＿＿＿＿」

箱を開けて

Aさんは目を見開いた

「私が貰ってもいいの？」

「ハイ。
俺が持ってても使い道ありませんし」

ありがとう。と
嬉しそうに灯りに翳して暫く見つめた後
彼女はそれを大切そうに箱にしまった。

「あのね」「あの」

二人の声が見事に被る

「Aさん先に」

「えーっと…これ、はい。」

彼女が差し出したのは
拳二つ分程の大きさの箱

「開けていいすか？」

「うん」

蓋を開けると

そこには、大きな真紅の宝石が埋め込まれた
黄金の腕輪が鎮座していた

金属の部分には
咆哮を上げる獅子の模様が浮かんでいる

「いつものお礼だから、受け取って欲しいなぁ…って思って。」

そういえば今日…

『私、少し用があるから待ってて！』

そういってAさんは
装飾工の所へ行っていた

…これの為？

「わざわざ…作らせたんですか？」

「まぁね」

照れながらえへへと笑ってているが

…特注となれば
誰でも簡単に払える金額では無いはずなのだ。

「ありがとう…ございます」

俺なんかのために…

腕につけてみると、
なお一層、荘厳な輝きを放っていた

「うん、思った通り。似合ってるよ」

微笑む彼女を見て

咄嗟に抱きしめたい衝動に駆られた

だが、それを理性で抑え

ゆっくりと呼吸を整える

「＿＿＿＿Aさん、次は俺の話聞いてもらえませんか？」