【マギ】願い事 Ⅱ (ページ30)

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65話ページ30

ジャーファルside

「…何をしているんですか貴方達は」

夢中になって
水晶玉を覗き込む私以外の八人将＋シン。

「二人の様子を見守っているのさ」

「いいえ、プライバシーの侵害です」

冷ややかな視線を送ると

「まぁまぁ、そうピリピリせずにお前もこっちに来い！」

ヒナホホの豪腕に引きずり込まれ
強制的に輪の中に加えられる

水晶玉に映るのは

頬を紅潮させて
口元を手で覆うマスルールと

額飾りを手に微笑むA

「マスルールってこんな顔するのね」

目を輝かせながらヤムライハが呟く

「二人とも初々しくて可愛いねぇ～」

ピスティも
微笑ましそうに見つめている

「後輩のくせに調子のりやがって」

妬ましそうにしてはいるが
どこか嬉しそうなシャルルカン

…やれやれ。

＿＿＿＿たまにはこういうのも悪くないかも知れませんね。

そう思いかけた時だった

「今、『今夜』とマスルールは言わなかったか？」

ドラコーンの声に
その場が水を打ったように静かになる

「マジでか！」

「ひゅぅ～」

「だっ、大胆な…////」

御愁傷様ですマスルール…

「よし、今夜は俺達で手分けして2人を見張る事にしよう。」

「「「おーう！！！！」」」

ハァ…

「やっぱり止めておけば良かったですね…」

輪から離れ

溜息を吐いた
私の肩に置かれる手

「ジャーファルも来いよ？」

「私は遠慮します」

「二人を祝福出来ないからか？」

…何を言い出すかと思えば。

「それは貴方の話では？」

「俺はもうけじめをつけたさ」

清々しい顔で空を眺めるシン

…つまりは

「振られたんですね」

「傷口に塩を塗るな！
まあ…とりあえず、ちゃんと見届けてやれ」

ポンポンと肩を叩くと
また輪の中へ戻っていくシン

.
.
.

『祝福出来ないからか？』

＿＿＿＿いいえ。

私はただ二人の邪魔をしたく無かった

…それだけです

キリキリと痛む胸に手を置くと

水晶玉に映ったAの笑顔が

瞼の裏に浮かんだ

シンの右腕として仕事に追われるこの身では
彼女を幸せにする事は到底叶わない

「わ！もう戻ってくるよ！」

「急いで片付けなきゃ！」

…Aを頼みますよマスルール。

コーヒーをカップに注ぎ

一口飲むと

私はいつも通りに
政務室に足を伸ばした