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パルテビア。
私と彼の生まれた地。
私の生まれた村は
もう跡形もなくて
舗装された道。
その脇には
商業施設が立ち並んでいて…
なんの手がかりにもなさそうだ。
次は何処へ行こう?
何となく人混みを避けて
路地にはいって歩いていたその先。
「此処は…」
無造作に並ぶ石碑の列。
「お墓…?」
それにしては
あまりにも荒れ果てている
まるで、この場所だけ
時代から取り残されたようだった。
「踏み込むな。呪われるぞ」
誰もいなかったはずの背後からの声。
警戒しつつ杖を握りしめ振り返る
そこにはシワだらけの老父がいた
「此処はなぁ、昔に潰れた村の民を供養する為に建てられた墓地なのさ。形だけのものだが、踏み入れた者は祟を食らうぞ」
たたり…?
「特に女は駄目だ。」
「どうして?」
頭の中がチリチリと焼けるような感覚に
何かを思い出せそうな気がした
「…」
しかし老父はそれ以降口を開こうとしない
彼の視線は私の手の中____杖に向けられている。
「お前さんも早う立ち去れ」
しっしっ、と猫を払うような手振りをして
老父は私に背を向け路地の奥へと消えていった
.
.
.
〜シンドバッドside〜
「残酷とは…?」
ジャーファルの困惑を含む声が
部屋の中に響いた
「どんなに抗おうとも、運命は変わらないとそう言われている気分____最悪な気分だ。」
「王様…」
悲しげに眉尻を下げたヤムライハが
ぎゅっと杖を握り締める
もうそろそろ潮時だろうか。
話すべきだろうか『シンジツ』を。
虚飾で塗り固められたその中に眠るソレを
もう一度掘り起こして
そこに待っているのはなんだろう。
「なあ、ジャーファル」
「…はい」
「お前も知りたいだろう」
「何のことでしょうか」
「何故俺が、Aに記憶を取り戻させようとせず、再び彼女の弟を殺したのかについてさ。
Aは言った、『すべて思い出した』と。
あれはきっと、本来の記憶では無い」
「…どういうことです?」
眉根を寄せるジャーファルに
自分の罪を告白するように告げた。
「そのままの意味さ。
…Aは、2度記憶を無くしてるんだ」
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紅妃(プロフ) - 完結おめでとうございます。いつも楽しみの一つにさせてもらっていました。これからの活動も応援しています。 (2018年3月14日 9時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
はな - めっちゃおもしろいです!続き早く読みたい。。!!夜猫さん、この小説のことわすれないで〜〜〜ヾ(・ω・`;)ノ (2017年1月10日 19時) (レス) id: 6a8fed615c (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - すごくおもしろいです。続きがとても気になります。応援してます! (2016年11月21日 23時) (レス) id: 9705d14001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜猫 | 作者ホームページ:https://twitter.com/tutimikado12113
作成日時:2016年10月11日 21時