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いや、落ち着け……。まだバレた訳じゃない。
リヴァイは私に、「アヤメを知っているのか」と聞いた。
それは物理的には可能なことである。
前に養父母が死んだ際、私の出身はストヘス区だと認知されている。
そしてアヤメが住んでいた場所もストへス区。
私とアヤメの居住期間は少々噛み合わないが、ゴリ押せばなんとか……。
「……同年代の知り合いがいたんです」
リヴァイの肩が揺れる。
「短い間でしたが、友人と呼べるほど仲良くなりました。名前は知りません。名乗りたくないと言っていました」
アヤメのことは他ならぬ私が1番知っている。だから、矛盾は生じない。
あの時、色々な人に興味を持たれて話しかけられた。でも話す気力は残っていなかったし、名前だって無意味に思えて、老夫婦にしか教えていなかった。
「彼女はよく歌を口ずさんでいました。聞きなれないメロディーで、けれど歌詞は、ある曲と全く同じなんです」
それっぽく言えてる気がする。私はいつからこんなにも嘘を吐くのが上手くなったのだろう。
「大切な人との歌だと言っていました」
横顔の真下にある喉仏がこくりと下がるのが見えた。
「聞いてるうちに私まで覚えてしまって。今はもう疎遠になっているのですが……彼女は、アヤメだったんですね」
よくここまで口が回ったものだ。我ながら感心する。
「……そうか」
重々しく口が開く。
「アヤメにも、お前のような友人が出来ていたんだな」
ほっとした雰囲気を醸し出している。
事実は違うのに。私には友人なんて1人も作れなかった。
……悔しい。
あなたは私を守っていたつもりだろうけれど、私は捨てられた気しかしなかった。
こんなこと、考えちゃいけないのに。
好きであることに変わりないのに。
でも目の前には、報われたような顔をしているリヴァイがいる。
私があの時、どれだけ辛い思いをしたのか。
不満が、怒りが、抑えきれない。
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より(プロフ) - 美竜(ミリュウ)さん» コメントありがとうございます!更新ひどく遅いのに、今も変わらず見ていただけて感謝に尽きます…!2つ目のコメはリクエストでしょうか?事故〇〇というと、事故ハグや事故チューなどのラッキーアクシデントの類を指していますか? (2019年8月16日 11時) (レス) id: ac4384d703 (このIDを非表示/違反報告)
美竜(ミリュウ) - 続きですみませんがいつか事故〇〇←〇〇は何かをお願いしていいですか? (2019年8月16日 10時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
美竜(ミリュウ) - 夢主が、夢主が倒れたァア(´;ω;`) (2019年8月16日 10時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
より(プロフ) - 伝説のパンダさん» ありがとうございます!!幼馴染みは私も憧れます笑。たくさんのお褒めの言葉、嬉しすぎて涙腺崩壊!頑張っちゃいます!! (2019年2月7日 7時) (レス) id: abaeb80319 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - とても面白かったです!幼馴染み。。。いいなー。。リヴァイが夢主ちゃんを大切にしている感じが最高です!ずっっっっーと!応援してます!番外編(?)の、喧嘩、いいですね!兵長可愛いです!これからも、頑張って下さい! (2019年2月4日 23時) (レス) id: e7cf133723 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:より | 作成日時:2018年9月22日 23時