59話 ページ9
私は元々体が弱かった。
喘息だったり、基礎体力が人よりなかったり、肺炎になって自分で息が出来なくなった時期もあった。
外で遊ぶのも長時間は無理で、そんな私に友達はいなかった。
遊び相手は年の離れたお兄ちゃんだけ。
幼い頃から入院していて、退院の話は何度かでたことがある。
でも、何回も延期になった。
そしてやっと退院できることになって、久しぶりの病院の外がとても楽しみだった。
お兄ちゃんはその日どうしても外せない用事があるっていってこれなかった。
そして、家に向かう途中事故にあった。
その時からだ。
目を閉じるとあの光景が浮かぶ
音が聞こえてくる
声を上げる暇もなく命をなくした両親
悲鳴をあげる周囲の人
全身に走る激しい痛み
眠ると夢を見る
「何故お前だけ生きてる」
「子供のくせに」
「どうせすぐ死ぬのだからお前が死ぬべきだった」
そんなことを言う両親。
今思えば両親はこんなことを言う人ではなかった。
でも、幼い私にとっては両親に正面切って言われたかのように悲しく苦しかった。
やがて、夢を見たくなくて眠ることが出来なくなった
睡眠薬を飲むようになる。
元々の病気に加え、発作の時用の精神安定剤、睡眠薬
幼い体には大きい負担だった。
思い出す度に起きる過呼吸や幻聴幻覚の『発作』が毎回大事になり、何度心肺蘇生を行ったことか。
医師もトラウマを克服するしかないと言う
でも、そんなこと無理だった
脳内にこびりついた光景はなかなか拭えない
毎日病院に足を運んでくれるお兄ちゃんには、心の底から申し訳なかった。
そしてなにより、残された私達はお互いに依存するようになった。
特に私はこの頃から発作をおさめるのに、お兄ちゃんがいなくてはダメになった。
私にはお兄ちゃんしかいない。
唯一の居場所
お願いだからどこにも行かないで
私のそばにいて
ずっとそんなことばかり思っていた。
もう誰も離れて欲しくなかった。
1年がたち、やっと睡眠薬がなくても眠れるようになった。
それでも、外を見るだけで鳥肌が立ち軽い発作が起きる。
だから、私の病室はいつもカーテンが閉まっていた。
吉か凶か、
軽い発作だったら自分で抑えることができるようになった。
お兄ちゃんは、そんな私を怒ることなかった。
むしろ、睡眠薬なしで眠れるようになった私も褒めた。
次は、外を見ることが目標だな。って
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抹茶チョコ(プロフ) - みみみみみさん» 返信が遅くなり申し訳ありません!しばらくこのアカウントにログインができていなかったので、、、読んでくださりありがとうございます!応援すごく嬉しいです!今後ともこの作品をよろしくお願い致します! (2021年5月5日 20時) (レス) id: 84eeadec36 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ - 最初から見ております!!最近だけど…ボソッ応援しております!!これからも頑張ってください!!!!! (2021年4月10日 22時) (レス) id: 46b37efe83 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶チョコ(プロフ) - Ayu_3さん» そんなふうに言って貰えるとは、、、めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年3月15日 15時) (レス) id: 73751f1fec (このIDを非表示/違反報告)
Ayu_3(プロフ) - 抹茶チョコさん» 御速いご対応ありがとうございます!とても大好きな作品なので更新が日々の楽しみです!応援しています! (2021年3月15日 15時) (レス) id: e9d487c6d3 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶チョコ(プロフ) - Ayu_3さん» ご指摘ありがとうございます!すみませんでした!修正致しました、、、申し訳ありません! (2021年3月15日 14時) (レス) id: 73751f1fec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:抹茶チョコ | 作成日時:2021年1月30日 22時