Cosmic ページ6
「はぁっ、無理!お腹すいたっす〜!!」
ある日、不意に聞こえた背後からの大きな声にびくりと肩が跳ねた『なずな』。
振り返れば、部屋のドアに背を預けた……あの子は……『にき』ね。その子がいたわ。
「ニキはん、さっきもなんか口に入れてへんかった?」
「あれだけで足りないっすよ〜……ちょっと僕、食べ物探してきますっす」
「椎名……って、もういませんね。全く……」
次々と出てくる彼らは【MDM】で見たことのある子達。『しゅう』たちと同じコズプロに所属している、四人組。
四人全員が集まっているのはなかなか見ないけれど、一人一人なら私たちもちょくちょく顔を合わせているわ。
「……あ」
(……あら)
ふ、と目が合ったのは『ひめる』。正直彼は、謎が多すぎてあまり深く触れたくはないわね。
まぁ、それはいいとして。
「こんにちは。今日はご一緒なのですね」
「え、あ、あぁ……お前らは、大変そうだな……?」
「ええ、全くです。Aさんが傷つかないよう、くれぐれも気をつけてくださいね」
そういえば、『ひめる』は初対面のときから私のことを知っていた。どうやら同じ事務所の『いばら』に聞いたらしいわ。
でも、『いばら』とは直接面識はないはずなのだけれども。不思議ね、『しゅう』や『みか』が話したとは思えないし……?
*
このES内では不思議なことが絶えない。
『アレ』はきっとそう思っているのだろうが、大半は我々の仕業だ。
「まぁ、スタプロの礼瀬マヨイを除いて、ですけど」
そう呟いて固まった肩を回せば、パキパキと音がした。
「ねぇ、茨……茨?」
「あ、ハイ!何でしょうか!」
「……やっぱり、いい……」
全く、つくづく周りのやつらも手のかかる。
「茨、そろそろ切り上げてくださいねぇ〜?」
「アイ、アイ!……というかジュン、また筋トレしてました?」
PCはまた使うからスリープモードに。
どうせ、こちらに大事なものは入っていないから大丈夫。
ぱたん、と静かな音を最後に扉は閉められる。
「茨、何してたの?見た感じ、コズプロ云々の書類じゃなかったけど……」
「おや、閣下に見られていたとはお恥ずかしい!ですが、一応コズプロにも関係してくる要項だったので。まぁ、我ら『Eden』にはあまり関係のないことですので忘れてください!」
*
コズミックプロダクション。通称、コズプロ。
彼らは、『どっち』?
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作者名:竜花 | 作成日時:2020年7月8日 23時