検索窓
今日:17 hit、昨日:5 hit、合計:13,000 hit

Best ページ28

「ValkyrieとRa*bitsの合同ライブにしちゃおうか」
「えっ」

 思わず春川の方を見た。春川が何を考えているのか分からないが、じっとホワイトボードを見つめている。

「……いえ、宙たちは元々部外者ですから。これでいいんです。これが、正解なんです。」
「春川」
「でもね」

 あんず先輩は話を切るように口を開く。

「演出は、Switchの三人にお願いしたいと思うの。照明は、できたら舞台の経験がある人がいいな。音響は……私がやる!」

 自信に満ちた、凛々しいその声でぱっと春川の顔が明るくなる。あんず先輩が言いたいことは、つまり。

「舞台の上……以外なら、誤魔化しがきくってことですか?」
「なんか締まらない言い方だけど、そういうこと!」

 企画が通った訳でもないのに、先輩は得意気に笑う。
 それでも、俺にはどうしても思うことがあった。

「でも……俺がいて、いいんですか?Ra*bitsは……いいえ、俺は特にAさんと関わりがないんですよ。なら、に〜ちゃんがソロで出た方がいい気がします」

 どこまでも優しい先輩は、わざわざ俺に目線を合わせて手をとった。彼女の真っ直ぐな視線が揺らぐことはない。

「企画書作ってくれてる時点で無関係ではないと思うよ」
「関わりなら、今からでもつくれます!」
「でも、でもでもっ……俺は!」
「は〜い、よいしょ〜!!」

 突然、勢いよく扉が開いた。心臓が飛び出しそうになるくらいビックリした。誰だよ、と叫びそうになったけど、足を蹴りあげていたのは意外にもに〜ちゃんだった。足で開けたのは触れないことにする。
 に〜ちゃんの後ろには、Valkyrieの二人がいた。

「仁兎……足で開けるのは行儀が悪いよ」
「なんかやらないといけない気がして!」

 に〜ちゃんの太陽みたいなその笑顔も、その場にある何もかもが俺には眩しかった。なんだか気が遠くなってきて、いつの間にか近くにいた春川の肩を掴んで、小さく後ろに隠れた。

「大丈夫です?」
「ごめん……」

 あんず先輩は特に驚いた様子もなく影片先輩と話し込んでいる。斎宮先輩とに〜ちゃんは、さっきまで使われていた、ほとんどのユニット名に横線が引かれたホワイトボードをじっと見つめていた。

「……先日、そこの小娘から連絡があってね。このライブの目的は大体向こう(フランス)で聞いているよ」

Mild→←Decision



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
196人がお気に入り
設定タグ:あんスタ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:竜花 | 作成日時:2020年7月8日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。