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「ValkyrieとRa*bitsの合同ライブにしちゃおうか」
「えっ」
思わず春川の方を見た。春川が何を考えているのか分からないが、じっとホワイトボードを見つめている。
「……いえ、宙たちは元々部外者ですから。これでいいんです。これが、正解なんです。」
「春川」
「でもね」
あんず先輩は話を切るように口を開く。
「演出は、Switchの三人にお願いしたいと思うの。照明は、できたら舞台の経験がある人がいいな。音響は……私がやる!」
自信に満ちた、凛々しいその声でぱっと春川の顔が明るくなる。あんず先輩が言いたいことは、つまり。
「舞台の上……以外なら、誤魔化しがきくってことですか?」
「なんか締まらない言い方だけど、そういうこと!」
企画が通った訳でもないのに、先輩は得意気に笑う。
それでも、俺にはどうしても思うことがあった。
「でも……俺がいて、いいんですか?Ra*bitsは……いいえ、俺は特にAさんと関わりがないんですよ。なら、に〜ちゃんがソロで出た方がいい気がします」
どこまでも優しい先輩は、わざわざ俺に目線を合わせて手をとった。彼女の真っ直ぐな視線が揺らぐことはない。
「企画書作ってくれてる時点で無関係ではないと思うよ」
「関わりなら、今からでもつくれます!」
「でも、でもでもっ……俺は!」
「は〜い、よいしょ〜!!」
突然、勢いよく扉が開いた。心臓が飛び出しそうになるくらいビックリした。誰だよ、と叫びそうになったけど、足を蹴りあげていたのは意外にもに〜ちゃんだった。足で開けたのは触れないことにする。
に〜ちゃんの後ろには、Valkyrieの二人がいた。
「仁兎……足で開けるのは行儀が悪いよ」
「なんかやらないといけない気がして!」
に〜ちゃんの太陽みたいなその笑顔も、その場にある何もかもが俺には眩しかった。なんだか気が遠くなってきて、いつの間にか近くにいた春川の肩を掴んで、小さく後ろに隠れた。
「大丈夫です?」
「ごめん……」
あんず先輩は特に驚いた様子もなく影片先輩と話し込んでいる。斎宮先輩とに〜ちゃんは、さっきまで使われていた、ほとんどのユニット名に横線が引かれたホワイトボードをじっと見つめていた。
「……先日、そこの小娘から連絡があってね。このライブの目的は大体
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作者名:竜花 | 作成日時:2020年7月8日 23時