第17話 ページ18
英智side
心の底から、嬉しかった。
彼の笑顔の理由が僕だなんて、そんなこと思いもしなかったし。
あぁ、なんてこの上ない、幸せ。
画面の前で焦がれていた彼が僕の名前を呼んでくれるだけでも…、いや、こうして出会えたことさえ奇跡に等しいだろうに。
…でも。
幸せに浸る前に、やらなければならない事がある。
「さて…覗きは趣味が悪いよ、朔間"先輩"」
「余計なお世話だ根暗ヤロ〜」
廊下の物陰の彼に声をかけると、苦々しい面つきで魔王様は姿を現した。
彼も本当は、Aくんの元へ行くつもりだったんだろうなあ。
「…どういうつもりなんだよ、あいつを絆して何をしようとしてんだ」
「別に、どんなつもりは無いよ。僕はただ彼と仲良くしたいだけだもの」
「…お前の周りにいる人間はどんどん壊れていく、お前に利用されて。
Aを利用しようって言うなら俺はお前を全力で止める、…お前がどんな手を使っても」
「……ふふ。必死だねぇ、でも大丈夫だよ。僕は彼だけは絶対に、失わないから」
五奇人のトップとも言える彼にこんな顔をさせるのはAくんくらいだろう。つくづく、罪な子だ。
「…でも、もし。もしもお前の隣に居ることがあいつの幸せなら、あいつがそれを望むなら、俺は身を引く」
「へぇ…、意外だね」
「…Aには幸せでいて欲しい。隣が誰であっても、俺じゃなくても」
「大きな愛だね。素晴らしいよ。君はそのために身を滅ぼすんだ」
絶対的な魔王様は人間を愛するが故に、人間に殺される。
それはまさにハッピーエンド、みんなにとっての幸せ。
「…心配は要らないよ。だってこの"革命そのものが彼のため"だから」
「…は?」
「だから、彼のためなんだ。全て。
もちろん僕の夢を叶えるため、という一貫した目標は変わらないけれど、
ステージで埋もれる彼を輝かせるため、僕は秩序を作ろうと思った。
…まぁ、今はただ彼を連れ出したいと、そう思っているけれどね」
あのままValkyrieという、斎宮宗という、檻に囚われているだなんて、僕には耐えられない。
憧れの、僕の、あの子。
「僕は彼を救う救世主になる。
どんな手を使ってでも、夢を叶える。革命を成功させてみせる。
僕は彼のために、他の何もかもを捨ててきた。
多くを愛する君は出来るのかな?僕のように」
答えなど分かっている。どれだけあの子が大事でも、彼にそれはできないと。
僕以外に、救世主など要らない。
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英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - 待ってます!!! (2017年6月8日 7時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!目処が立ちしだい載せさせていただきますので、お待ちください,,,! (2017年6月7日 21時) (レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - また新しく小説を作るなら余ったページでお知らせをしてください!すぐに見に行きます!!! (2017年6月6日 23時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴さん» ご指摘ありがとうございます…!直してきました、本当に有難いです。すみませんでした (2017年5月30日 20時) (レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - 18話の零さんの台詞の「妙なことは言わないことを願うけどよ」が「妙なことは言わないとことを願うけどよ」なってますよ〜! (2017年5月30日 20時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2017年5月25日 19時