5 腹が立ったから ページ6
その後すぐにホッケ〜がプロデュース室に入ってきて、彼の一言でなんとかその場は収まった。当然、ホッケ〜もB組から歓迎はされてない様子だったけれど、彼は分かっていたかのように冷静なままで。
…何だよそれ。なんでこの現状に納得できるんだよ。
そんなことを思いながら、俺は遠目にAの姿を見ることしかできなかった。
授業開始を告げるチャイムが鳴って、約一週間ぶりの合同プロデュースが始まってからも、A組対B組とAのギスギスとした空気は変わらないままだ。
この時間の指示は、全て復帰したてのAが出すことになっている。彼女はB組の面々には楽しげに指示を出しているけれど、A組に対しては一切笑顔がないし、それどころか声は小さく震えている。何か言いたげに口を開いたかと思えば、「何でもないです」と口を閉じ出す始末だ。
彼女はプロデューサーで、俺たちはアイドルだ。
言われたことは全力でやろうとは努力しているけど、
なんか、今は全然楽しくない。
「…あのさ」
ダンス中に突如立ち止まった俺を見て、カウントをとる彼女の手が止まった。
横からホッケ〜の止めるような声が聞こえたけど、今は聞かないことにする。
だって、こんなプロデュース全然楽しくない。
「理由はよく知らないけど、俺たちA組に対して本気でプロデュースしてくれないのは何で？俺たちには手抜いてB組には沢山アドバイスあげるのって何でなの？
なんでクラスメートに対して距離取ってんの？」
つい、感情のままに彼女を睨んでしまう。
少しばかり棘があったかもしれない。
でも、本音を伝えたつもりだ。
だから、きっとこれでAも気付いてくれる筈。
「…ごめんなさい、ちゃんと、気をつけます」
そう思っていたのに、彼女はそう言って笑った。
その下手くそな笑顔に更に腹がたって。
「…プロデューサー、向いてないんじゃない」
それが口から漏れた瞬間、乾いた音と共に俺の頬には痛みが走る。
「あんまり勝手なこと言うな」
頬を抑えながらそちらを向けば、赤紫色の髪と黄色のバレッタが目に入る。
…俺の味方してくれるかなって、少し期待してたのになぁ。
( なんだ、俺が悪者扱いされちゃうんだ。)
バタンと扉が閉じる音がして、皆の視線が扉に向かう。
部屋にいないのはAだけ。
俺に言われたことで泣いて逃げ出したってこと？
「…全然意味分かんない」
逃げ出したいのはこっちだよ。
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
