【御幸】初恋 first episode＊.*・。

余裕なんてない ページ25

御幸は手を掴んだまま廊下をぐんぐん進んで行く。

まだ生徒もたくさん残っているため、何事かと興味津々な視線が向けられる。


「ちょっ……ちょっと、御幸！離して！」

「いやだ」

「一緒に行くから！みんな見てるよ、恥ずかしいよ」

「別にいいだろ！見られちゃまずいのかよ。



　それとも…………大好きな結城先輩に見られたらまずいって？」

Aの手首を掴む御幸の手にグッと力がこもる。

「……っ痛い……」

泣きそうな声で痛いと言われ、反射的に手を離す。

「……ごめん」

Aの手をそっと握り、赤くなった手首を優しく、愛おしそうに撫でた。

「赤くなっちゃったな。ごめんな」

申し訳なさそうに何度も謝ってくるので、逆に申し訳なくなってきた。

「もう大丈夫だよ、全然平気だから！！」


御幸の視線を感じて赤い手首を握ったまま顔をあげられない。


ジッと私を見てる……。


痛い程に視線を感じる。
Aはうつむいたままだ。



ぼそっと


「俺、余裕ねーな、だせぇ……」

と言われて、え？と思わず顔を上げた。





切なげな表情で真っ直ぐ見つめる御幸の顔があった

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