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一石三十一鳥 ページ32

以前の私なら絶対に男の人の手を借りずに1人で立ったけど、今はそれが嫌だった。



「1人じゃ立てない。手、貸してほしいな。」



私のその言葉に驚いたのか、彼は目を見開いている。

もう、銀さんのことを拒みたくなかった。

ゆっくりと差し出された銀さんの手を、ゆっくり握った。

骨ばった手、ゴツゴツしているのが苦手だったけど、
今はそれが頼もしく思える。



「ありがと。」

銀「平気なのか?」

「銀さんだから平気。」

銀「…そうか。」




立ち上がって彼を見上げると少し、いやかなり嬉しそうな顔をしていた。

その顔に心が満たされていくのを感じる。



銀「ほれ、着物直せ。」

「あっごめん。」



ぽりぽりと頭を掻きながらそっぽを向いてしまった。

下を見ればはだけた胸元に、全力疾走したせいで足元も乱れてる。

ちゃっちゃと着物を直して銀さんの肩を叩いた。



銀「帰るか。」

「帰る。あー疲れた。お腹空い…」

銀「あぁ?!そういやAよォ!」

「なっなに?」



突然叫び出した銀さんに突然肩を掴まれて心臓が飛び出そうになる。



銀「A!なんで俺を呼ばねぇで外出た?!」



真正面にある銀さんの顔は余裕が無さそうで、
焦りや怒りを感じる。

本当に心配させてしまったんだろう。



「だって…銀さんのこと傷つけて…」



手が触れただけなのに過剰に拒んでしまったあの時からずっと心が重かった。

悲しげな横顔が脳にこびりついて離れなくて、どんな顔をして会えばいいか分からなかった。


「それなのに迎えに来てなんて都合のいい事言えないよ。
私の面の皮の厚さはジャンプですかって。」



私の肩を掴んでいる銀さんの手に自分の手を重ねた。

赤い瞳はゆらゆらと揺れている。



「あの日、銀さんのこと拒絶してごめんなさい。
なのに、私の為に飛んできてくれてありがとう。」


銀「別に、気にしてなかったさ。……って言ったら嘘になっちまうが。Aにも事情があんだろ。仕方ねェよ。Aは悪くない。」



眉毛を下げて困ったように笑った彼の顔を見て、また罪悪感が押し寄せて来た。

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氏兎(プロフ) - まゆゆんさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(TT)頑張りますー!! (2022年9月24日 1時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます!!嬉しいです!!頑張ります(^-^) (2022年9月24日 1時) (レス) @page32 id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - このお話大好きです!!!!!!更新頑張ってください!応援しています🥰 (2022年9月20日 18時) (レス) @page31 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 面白い!!更新頑張って下さいね!!!!!!! (2022年9月19日 20時) (レス) @page31 id: 0e3bc286c0 (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - 夢子さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!もっと楽しんで貰えるように更新頑張ります(^-^) (2022年9月10日 17時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氏兎 | 作成日時:2022年7月25日 0時

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