DATE6 ページ7
「……おーい、起きて」
誰かの声が、微かに聞こえる。
ぼやける焦点を何とか合わせ、目の前の景色を見る。
青い素材で構成された、広い部屋。
遠くに見える、人々の姿。
そして
A
「……あ＿＿」
トク
「目が覚めたか！」
掠れた声を絞り出せば、それに気づいて笑みを見せる……私の親友。
生存を実感し、意識が覚醒した途端に涙が溢れてきた。
先ほどの毒ガスには、涙腺を脆くする副作用まであったのか……と、泣きながらもそんな事が考えられるほど、妙に落ち着いていた。
あぁ、あまり泣きたくないのにな…
そう考えながらも、涙だけがぼろぼろと零れ、制服に染みを作っていく。
トク
「だ、大丈夫か、A……怖かったか？」
トクが言葉を濁しながら聞いてきたということは、そういうことだろう。
泣いているのは、高いところから落ちたからだと思われているようだ。
私は昔から高所恐怖症で、ジェットコースターには毎度絶叫し、プールの飛び込みすら怖く、バンジージャンプなんて見ているだけで気絶しそうになる程だった。
しかし、今回泣いている理由は、自分にもよくわからないのだ。
トクの姿が見れたことに対してか、怖かったことを思い出してか……
ふとトクの姿をもう一度見ると、少し違和感があった。
彼女は外食用に着替えた為、ワンピース姿ではあったのだが……それだけではない。
確かなぞなぞを解いたときにはなかった…
A
「……首、輪？」
恐る恐る自分の首元を触ると、私にもしっかりと付けてあった。
これが一体何を危惧するのか、具体的にはわからずとも、象徴的には理解できた。
「おー、目が覚めたみたいだな」
「良かった。あの、どこか悪いところはないか？」
聞こえた声の方を向けば、こちらへと寄ってくる男女が見えた。
制服姿なのと、体格が私達と同じくらいである事から、高校生であると推測できる。
先に声をかけてくれた方は、茶髪で何かと装飾品の多い、俗に言うチャラい印象の男子。
後から声をかけてくれた方は、しっかりとしていそうな印象の女子。
こちらが首を縦に振ると、揃って「良かった」と優しく笑いかけてくれた。
「あっちで今から自己紹介をやるから、集まって貰えると助かる」
「準備でき次第でいいから、こっちに来てくれよな」
それだけ言って、二人は輪の中へと帰っていった。
行けるか？と問うトクに対して勿論と答え、暫くしてから人だかりの方へと向かっていった。
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