憧れの人 ページ2
衣更くんが連絡を取ってくれたそうで、月永先輩は書類片手に忙しい中駆けつけてくれるらしい。あの日から一週間が経って、私は憧れの彼女に漸く会えるのだ。
「緊張してきた…」
「あはは、あんずってば緊張しすぎ〜!別に厳格な人ってわけでもないし、サリ〜も言ってたけどAちゃん先輩は後輩に甘いから大丈夫☆」
明星くんは相変わらずキラキラな笑顔で緊張を解してくれる。だが、いざ憧れの人を前にすると、私はきっと何も喋れなくなるのではないだろうか。
「き、緊張するなら、手のひらに人の字を書いて飲むといいよっ!」
「なぜ遊木が緊張しているんだ。A先輩には何度もお世話になっているだろう」
「ちがうよホッケ〜!ウッキ〜はあんずと話すのに緊張してるんだって!」
こんな調子で、レッスン前の準備運動をしながら緊張の解し方について話していると、バンッと音を立てて練習室のドアが勢いよく開いた。
『遅くなってごめんなさい!』
入ってきたのは、私より少し背の高い美人さんだった。目を惹くのは明るいオレンジの髪と、ガラス玉のように澄んだ翡翠の瞳。整った顔立ちと、力を込めれば折れてしまいそうな細い身体がお人形を連想させた。
この人が、月永A先輩。私の尊敬する、憧れの先輩プロデューサーだ。
『あなたが島倉あんずさんですね』
「は、はいっ!」
『月永Aです。会うのが遅くなって本当にごめんなさい』
礼の一つにも美しさがあって、本当にしっかりした人だ、と感動してしまう。数コンマ遅れて、私も頭を深く下げた。
「こちらこそ、お忙しい中、来ていただいて本当にありがとうございます」
先輩がどれだけ忙しいかは手元にある大量の書類を見ればわかった。だからこそ、私のために時間を割いてくれたことがどうしようもなく嬉しい。
「わ〜い☆Aちゃん先輩だ〜!」
「こら明星、礼節をわきまえろ」
「A先輩、お久しぶりです!」
明星くんや氷鷹くんだけではなく、人見知りの遊木くんまでもが彼女に声を掛けていて、アイドルから信頼されていることが本当によくわかる。
三人から質問攻めにあいつつ、的確に返事をしてさらりと意識を目の前のレッスンに向けさせる冷静さが、かっこよすぎて仕方がない。
見れば見るほど尊敬できる先輩。これが、私の先輩に対する第一印象だ。
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海道蓮(プロフ) - 優曇華院咲月さん» 了解しました! (2021年2月2日 23時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
優曇華院咲月(プロフ) - 海道蓮さん» レッスン室にレオ先輩の忘れ物を届けにいく的な? (2021年2月2日 7時) (レス) id: b913713117 (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - 優曇華院咲月さん» リクエストありがとうございます!ご希望のシチュエーションがあれば教えてください! (2021年2月1日 23時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
優曇華院咲月(プロフ) - リクエスト! Knightsの方と絡めて欲しいです! (2021年1月31日 23時) (レス) id: b913713117 (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます!更新不定期でごめんなさい。本編が進み次第、どんどん書いていきたいと思います! (2021年1月28日 0時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海道蓮 | 作成日時:2020年8月7日 14時