4 左馬刻side ページ6
「…ん、」
寝苦しさから目を覚ました
TDDのメンバーと久々に会わないか
そう先生から連絡があって
不本意だが一郎とも一緒に飯食って
しこたま酒飲んで…
解散した後……そうだ
一郎が文句言いながら俺を引っ張って
………どうやって帰ってきたんだ?
っつか、んでこんなあっちぃのに
毛布なんてかけて寝てんだよ
一郎か?
いや、あいつはそういうのしねぇか
俺をベットに投げ捨てて帰るのが
定番だしな
「……いねぇ」
辺りを見回して
何故か物足りないと思ってしまう
ぽっかり抜け落ちたみたいに
何かが足りない
いや、一郎がいないのは分かってる
むしろいなくていい
他に誰かいたはずだ
俺と大して変わらない…いや俺のがでかい
自分よりでかい男、しかも寝てる男を
連れてここまで来るのは一郎じゃ無理だ
…くそっ、思い出せねぇ
「…水……」
覚め切っていない頭をどうにかしようと
フラフラと立ち上がった
見窄らしい冷蔵庫でも水くらいある
ふと壁に立て掛けられた鏡に目をやる
酔い潰れて酷い顔だ
けど、
「んだこれ…?」
赤くなった顔とは別に
瞼が厚ぼったく腫れていた
まさかと思い
その赤くなった目元に触れると
ピリッと痛んだ
なんで腫れてんだ…?
そう思った瞬間、俺は家を飛び出した
酔いが回って気持ち悪い
けど、重い足で無理矢理走った
思い出した
家を捨ててきた若い男
そいつがあの時いたんだ
どこだ、どこに行った
家に帰ったのか?
ダメだ、帰ったら…
酒のせい
だからおかしくなってんだ
あいつと俺は違うのに
あの頃の俺と重なって
殴られて蹴られて
母さんがやめてって泣いてて
妹が体を震わせて怯えてて
どこに行ったんだ
せっかく見つけたんだ
俺と同じ…
『あれ…左馬刻さん?なんで…』
「っ、どこ行ってやがった!!」
うろ覚えだったそいつの顔も
顔を見れば雲が晴れたように鮮明で
そうだ
やけに顔が小さくて
目がでかくて
女みてぇな顔だった
『あ、の…覚えて…?』
「はぁ、はぁ…け、怪我…怪我は」
『え、お、俺どこも怪我してないです…』
当たり前だ
俺じゃねぇんだから
分かってる、そんなこと
けど勝手に口から出る
昔俺が言われたかった言葉
『左馬刻さん…?』
「帰るな」
『え、あの』
「俺が、助けてやる」
同じだから分かる
救われることを何よりも望んでいた
.
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絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時