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「じゃあ何かあったら連絡しろよ」

『はい…すみません』

「なんで謝んだよw…その人のこと頼むな、A」

『…はい』


せっかくの好意を無下にしたにも関わらず

一郎さんは優しいままだった


連絡先も教えてくれて

今度ご飯にでも行こうと誘ってくれた


たった1つしか変わらないのに

ずっと年上に見える


お兄ちゃんって、こういう人みたいな

感じなのかな


俺には実の兄だっているのに

一度も兄らしいと思ったことはなかった


なにより、家族の中で唯一

俺に手を出してきた人だ


一郎さんとは比べものにならないほど

クズな人間


『…左馬刻さん、今日は泊めて下さいね』


まだ若さを感じられる幼さを残した寝顔で

眠る左馬刻さんにそう告げて


ベットの隅に追いやられていた毛布を

広げて左馬刻さんにかける


一郎さんに甘えて泊めてもらえば

良かったのに


この人の涙を見てから


全くタイプでもないのに

一人にしてはいけないと思ってしまった


確信はない

けど、きっとそうなのだ


同情だと言われようがいい


今まで誰も見てくれなかったんだ

少しくらい同士だと思ってもいいだろ?


かと言って

タダで泊まるなんておこがましいし


何より一郎さん曰く、翌朝何も覚えてない

ことが多いらしいし


起きた時見知らぬ子供がいるなんて

この人も嫌だろう


せめて、と朝飯や昼飯用に

何か作ろうと冷蔵庫を開けると


まぁこの人の性格からして予想は出来たが

全く食材が入っていなかった


唯一あるのはいつ買ったのか分からない

卵と傷み始めたレタス、つまみのメンマ


そして沢山の酒

これじゃ何も作れやしない


今は深夜回った1時だ

スーパーはとっくに閉まっているだろう


『…この辺コンビニあるかな』


仕方ないけど、簡単なものなら

コンビニでも揃っている


有り合わせで勘弁してください


ーーーーーーーーーーーーーーーー


左馬刻さんの家から大分歩いてきた


スマホの画面にはもうすぐコンビニが

あると示されているが


何分周りに目立つものは一つもなく

ここに本当にコンビニがあるのか不安になる


やっぱりヤクザだから

人目につかないところに住むんだろうか


廃れた商店街に人気のない道

どの家も人がいないかのように冷たい


こんな所に1人で住んでいるのか


『…あ、あった』


小さくポツンと明かりの灯った

その建物に


つい、安堵からのため息が出た

.

4 左馬刻side→←2



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絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時

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