検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,057 hit

9 ページ9





「じゃ。また連絡しますんで」


『りょーかい。お疲れ様〜』



軽く会釈して飛んだホークスを眺めていた。



彼とは仲良くなれないだろうな。



そう思うのにも理由はちゃんとある。
私より年下なのにヒーロー思想が1人前だからとかではない。


いや、それも少しはあるかもだけど。


ダサい話、私はいつも強いひとの味方だった。
負けるのは恥ずかしいし、痛い。


そんな思いをするくらいなら敵を作らないのがいい。


いつの間にかそう思うようになっていた。
これも賢い大人の生き方だと思う。



いつだって弱い人は強いひとの支配下にいる。



『あー…またやなこと思い出しちゃった』



今日はお酒も飲んでたからいい気分で過ごせると思ってたのに。



いっそのこと、道端で寝ちゃうくらい酔いたかった。
ヒーロー始めてからそんなこと出来なくなったけど。



ヴーヴーヴー



ポケットに入れていたスマホが振動する。



この振動の回数…



『はぁ…』



ヒーローしてる人間には似合わない深いため息がこぼれる。

自分の溜息にまじるアルコールのにおいにの頭が痛む。



いやいやスマホを見るとやはり姉からだった。
出ようか出まいか迷っているうちに着信履歴はどんどん増えていく。



『…よし!』


『もしもし、なに?おねえちゃん』


「やっとでた。なにしてんのー?」


『飲みながら打ち合わせ』


「あそ。」




自分から聞いてきたくせに。
とは言える訳もなくへへと適当に笑った。



「で、あんた早く実家に顔出しなさいよ。」


『…お母さんは?』


「いるけど」


『変わって。』


「自分の携帯でかけなおせよ」



ほろ酔い気分でお母さん以外の家族とは話したくない。


いい気持ちだったのに、


息苦しくなって


目の前がかすんで


鼻が詰まるような感じがして__



やっぱ家族に電話かけたくないな。と思っていたらお母さんから電話が来た。



『もしもし、お母さん』


「A」


『なに』


「来週にでも顔だせない?」


『また親戚で集まるの?』


「お父さんの会社の集まりよ。

お姉ちゃんも出席するから、お父さんの顔を立ててあげて」


『……』


「Aちゃん。お願い。」


『………分かった』


「また日時は教えるから、それに合わせて帰っておいでね」


『……うん、』



もう声の聞こえないスマホを片手に私はずっと頬に当てていた。



続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:無個性 | 作成日時:2023年4月10日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。