毒の花 2 ページ24
「──おや、監督生さんが私のところに来たということは。」
「はい。決心がつきました。」
翌日、私は学園長の元に向かった。
みんなと離れてしまう悲しさや寂しさはあったけど、それ以上に元の世界に戻らないといけないという思いが強かった。
一種の恐怖かと思った。
「では早速、鏡舎へ。」
「いえ、その前に。」
学園長を呼び止め、私は口を開く。
「........私が元の世界に戻ったら、みんなは私の事を忘れますか。私もみんなの事を忘れますか。」
自分や、みんなに対するリスクを聞いておきたかった。
何も説明無しに元の世界に戻ってのほほんと生きていたくない。
「.......分かりません。異世界人を元の世界に戻すなど初めての試みですから。」
学園長はそう言った。
仮面のせいで学園長が一体何を考えているのか読み取れない。
「......私が居なくなったら、A先輩はどうなっちゃうんですか。」
「私が責任を取って彼女を育てます。」
学園長はそのことに関しては、間髪入れずに答えた。
なら、安心だ。
私の不安は全て決心に変わった。
心残りはひとつもないというのは嘘になるが、戻りたくないという意思はなかった。
「........そうですか。」
頭ではそう考えているのに合意の言葉を発するのは少し時間がかかった。
「では、鏡舎へ行きましょう。」
学園長がそう言った刹那、場所は一転し、薄暗い鏡舎へと変わった。
「──じゃあね、グリム。私が居なくなっても元気で居るんだよ。」
「.....当たり前だゾ。」
「学園長。今までお世話してくださってありがとうございました。どうか、A先輩を任せます。」
「分かりました。監督生さんもどうか元気で。」
私は別れの言葉を彼らにかける。
「A先輩。私のせいで、ごめんなさい。どうか、あなたは私がいなくても幸せに笑って下さい。」
学園長の腕の中にいるA先輩の頭を撫でた。
A先輩は綺麗な水色の瞳で私を見つめた。
私はそれにぎこちなく微笑む事しか出来なかった。
「──では。ありがとうございました。」
そう言って光る鏡に歩を進める。
足が震えた。
あと数歩で鏡に私が入る時
「うぁぁぁッ!」
A先輩が泣き始めた。
足を止めそうになった。
戻って抱きしめたかった。
「いかないで!!やぁや!まって!!」
A先輩が必死に私を止めようとしていた。
「いかないで.....かんとくせぇ!!!」
A先輩の叫び声が耳に残った。
510人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました!そういう質問待ってたありがとうありがとう!! (2021年6月29日 16時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか? (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ!!!()ありがとう!!無事完結出来て良かったです!ありがとうございました! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…!! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます!すみません直しておきます!指摘感謝です! (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年10月24日 23時