氷の華 3 ページ18
うわぁぁ、とボクの腕の中で彼女が泣きわめく。
この子は、ボクに、何をして欲しいのだろう?
唐突に沸いた疑問だった。
「──A先輩.......私がこの世界に来てから色んなことを教えてくれました。
優しくて、面倒見がよくて、笑顔が素敵なA先輩はどこに行っちゃったんですか...?」
そうか。監督生は。
「ボクをそんな風に思ってたのか。」
ずっと夢を見ていたんだね。監督生。
「え.....?」
万年ハッピーそうな監督生が可哀想だから教えてあげる。
「君は随分幸せな思考をしているんだな。
監督生。君は夢を見ていたんだ。
君に優しい対応をしてくれた人なんて誰もいないよ。そう、誰一人、ね。」
監督生の瞳が揺れた。
「それに、この学園に来てからボクは誰一人に慈悲を思ったことすらない。親しさなんてないよ。感じたことも無い。思う気も湧かない。」
寮長たちの瞳が揺れた。
ボクの唇が孤を描いた。
「何か勘違いしているんだね。可哀想。」
ボクはそう言った。
「Aさん!!」
ボクが口を開こうとした時、ボクを呼ぶ大声が聞こえた。
「──あぁ、学園長ですか。今更一体?」
「.....っ、すみません.....私の教育の仕方が悪いばかりに......。」
学園長がそう謝った。
嗚呼、この人も。
「──一体誰にその頭を下げているのかボクには分からないんですが。」
ボクも、私も見てない。
「すみませ──」
「ボクはね、貴方みたいな方に頭を下げられるような地位など持ってない.......いや、無くなった、というのが正しいんでしょうね。」
ボクはそう言った。
この場にいる誰もが意味がわからないという顔をしていた。
「──ボクの誇りは、剥奪されたんですよ。呆気なく、ね。」
ボクは今、笑っているはずだ。
氷は怒りを表すようにメキメキと鋭利なものになってゆく。
「でもね。」
ボクは言葉を続けた。
今は気分が昂っている。
その怯えた瞳が。
ボクを差別するその瞳が。
「地位が無くなったとてボクには培った力がある。誰にも劣らない、ボクだけのボクしかない、1番で最強な、力がある。」
心底腹立たしい。
ボクは未だに抱きついている監督生から離れ、学園長の元へ行った。
寮長達は自然と道を開けた。
「ねぇ、学園長。今ボク、すっごく強いんだよ。
..........何でかって?そりゃあ、」
ボクの唇が言葉を発する。
「オーバーブロットしてるからね。」
510人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました!そういう質問待ってたありがとうありがとう!! (2021年6月29日 16時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか? (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ!!!()ありがとう!!無事完結出来て良かったです!ありがとうございました! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…!! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます!すみません直しておきます!指摘感謝です! (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年10月24日 23時