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黒い氷の華 ページ19

──刹那だった。

爆風と強大な魔力によって視界が見えなくなる。
誰しもが目をつぶった。

「キャアッ!」

叫び声が響いた。
視界が良くなった時、上空にAと監督生が浮かんでいた。

「監督生!!」

「オイAテメェッ!!」

寮長たちが声を荒らげる。



「ねぇ、監督生。君は魔力も何も無いただの人間だと言うのに、君はどうして同等で愛される?」

地上にいる人達が豆粒のように見える上空でAは監督生にそう問うた。

「え.....?」

「監督生が女の子だから?監督生か異世界から来たから?それとも、君っていう存在が愛されているの??」

Aはそう聞いた。
Aは、先程の言葉通りオーバーブロットしてしまった。

背からは氷のような透明な翼が。
頭からは尖った大きな角が。
瞳は青く、底がないような海が連想された。
そして、頬や額には、光の角度によって色が変わって見える美しい鱗が見えた。

彼女はユキノコではなくなったというのに、何故そのような姿でいれるのだろうか。

「A先輩、私は貴女が好きです。」

監督生はそんなAに恐れずそう言った。
Aの瞳が僅かに揺れる。

「なんでも出来てしまうあなたが。
笑顔が素敵なあなたが。
幸せも苦しみも、全て受け止めて前へ進んでいくあなたの背中が。
好きで、尊敬しているんです。」

Aは静かに監督生の話を聞いた。

「愛されるのは誰もが望んでいます。
でも、幸せや充実、裕福とは違います。
愛されるとは、たった1人だけでもあなたの事を思ってくれる人がいる、ということです。

──だから、私がその一人になります。
あなたを愛するたった一人の人になります。」

Aは何も言わなかった。

「──もういい。」

Aは監督生を寮長たちの元へ返した。

「A。」

彼らがAの名を呼んだ。

「──何も知らないお前たちが、表面だけ見てごちゃごちゃ何言ってんの?
綺麗事?何一つ心に響かなかったよ。」

Aの瞳は黒く濁った。

「──ただ、ボクは、普通でいたかった。
なのに.......!!!!なのに!!!!!
お前たちのせいだ!!全部全部!!!
滅茶苦茶にしたのは!!お前たちだ!!
“私”を殺して!!“僕”を作った!!
偽物なんかでいるのは普通じゃない!!!」

Aの視界が歪んだ。
だから攻撃があちこちに飛ぶ。

Aは、涙を流していた。

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∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました!そういう質問待ってたありがとうありがとう!! (2021年6月29日 16時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか? (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ!!!()ありがとう!!無事完結出来て良かったです!ありがとうございました! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…!! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます!すみません直しておきます!指摘感謝です! (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年10月24日 23時

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